銀魂 小説 | ナノ


若人よ!


 「銀時って童貞?」
「……は?」
「だから、銀時は童貞なのかってきいてるの」

 三日連続猛暑日を記録した今日この頃。流石にこの暑さで頭をやられたのだろうか。突然訳のわからないことを言い出した目の前の馬鹿は、呑気な顔でブリックパックのフルーツ牛乳を音を立ててすすっていた。
 質問はさておき俺たちは今、学校というなの学び舎にいる。なぜなら期末テストで救いようのない点数をたたき出してしまい強制的に夏休みの補習を余儀なくされているからである。午前中の補習を終えて、今は昼食休憩。

「私は処女なんだー」
「聞いてねーよ」
「二組の綾ちゃんはヤリまくってるんだって」
「へーあの清楚っぽくて可愛い子がねえ……ってだから聞いてねーよ」

 俺のツッコミを聞いているのかいないのか。馬鹿は飲み干したブリックパックを潰してゴミ箱へ投げた。が、外れた。悲しきブリックパックはゴミ箱傍の床に横たわる。

「銀時捨てといて」
「いやいやいやいや、俺からゴミ箱近いとかじゃないからね。むしろ若干お前のが近いからね」
「……服部先生がやってくれるか」
「お前まじでやべーぞ、その思考回路」
「ショート寸前ってやつか」
「それは月に代わってお仕置きする美少女戦士な」
「午後も補習とかだるいなー」
「お前本当人の話聞かないのな」
「ぬーすんだばーいくーではーしりーだすー」
「なんで急に十五の夜?」
「銀時君、青春は楽しむためにあるとは思わないかね」
「そしてなんで急に啓発的な語り口調?」
「彼氏ほしいなー」
「お前でもそんなこと思うんだ」
「愛してるの響きだけで強くなれる気がしたあの頃が懐かしいよ」
「いや、まんまスピッツだよね。それにお前まだ18だから」
「夏ってだけで何かが起こりそうな予感でいっぱいです」
「何それ作文?」
「ってことで童貞銀時、服部先生くる前にどっかいこう」


若人よ、自由であれ
少しドキッとした自分が情けない。

:)120805

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