鳥の鳴く声で目が覚めた。 空気はひんやりとしている。 相変わらず窓の外は雨模様な様子だった。 カーテンを閉じた薄暗い部屋で、外気に晒された肌を隠すように、身体を丸める。 ごつん、と、頭が温もりに触れた。 何かと思って顔を上げて、次の瞬間、ああ、と理解する。 「……ん」 彼が微かに声を漏らした。 起こしたかな?と思って顔を覗きこんだが、一向に目覚める気配は無い。 それもそのはずだ。 彼がこんな早い時刻に目覚めたことなど、無い。 くすり、と微笑んで、明日香は再び彼の胸元へ埋まった。 (…しあわせ) しとしとと降り注ぐ雨の音が心地よい。 せっかくの休みだ。寝坊するのも悪くないだろう。 そう思いながら、瞼を閉じた。 |