「ココさん?こっちのもおしゃれだよ?」 アタシはそう言ってそのマグカップを手に取って、ココさんに見せた。 ここは、二人で出掛けるようになってからお気に入りの場所になった雑貨店。 いつもの公園デートの帰り。今日は少し時間があったから寄ってみたの。 そしたら突然ココさんが、「カップを買おうかな」って言い出して…… 「やっぱり落ち着いた感じの方がココさんには良いかなぁ」 アタシはそう言ってもう一つ、別のカップを手に取った。 「これどう思う?」 「んー……まぁまぁかな」 「またお気に入り度60%かぁ」 ココさんはそんなアタシを見て少し困った顔で笑う。 その次に手に取った物も。ザンネン。50%。 不意に、アタシの鞄の中で携帯が鳴った。 「ココさん、ゴメンね。ちょっと待っててくれる?」 アタシはそう言って店の外に出た。 電話を切って戻ったら、ココさんは会計を済ませていた。 「お気に入り見つかったんだね」 ココさんは何故か照れ臭そうに頷いた。 店員さんがココさんを真っ直ぐ見詰めて凄く丁寧に渡してくれた紙袋。 店員さん、目の中にハートを散りばめてて。もぅ。って思っていつも以上にココさんにくっついて覗いたら……ビックリ。 ブルーにゴールドの縁のリボン。綺麗に包装してあった。 アタシ、またまた勘違いしちゃってた。ココさんのじゃなくてプレゼントだったんだね。 しかも… 「大きいね」 「え?あ、うん。2つだからね」 なるほど。ペアカップなんだ。 とすると…トリコくん達にあげるのかな? なーんて。 この間のデートの事を思い出した。 ここは、今日初めてお邪魔する事になった、ココさんの部屋。 ココさんと何度も約束してきて、なんと今日。初めての雨が降ったから。 突然のココさんの提案に、ドキドキしながらお邪魔したの。 綺麗に片付けられているワンルームの、ローテーブルの横にちょこんと正座したアタシ。 「今コーヒー淹れるから。かなこちゃんはゆっくりしてて」 なんてココさんは笑うけど、緊張してキョロキョロ落ち着かないアタシ。 そんなアタシが、ココさんの言葉の隙間に見つけてしまったのは、揺れるリボン。 ブルーにゴールドの縁のチョウチョが、ココさんが開けた戸棚の取っ手にとまってたの。 その扉の中からカサリと、どこかで見た柄の包み紙。 「ココさんってば……」 「え?何?」 「………『贈り物』ですか?」 『違う』と返す度胸がなくて。 「1つはかなこちゃんのだから、間違いじゃないよね?」 「ふーん…?」 「…逆の言葉が浮かばなかったんだってば」 「やっぱり!」 「でも、かなこちゃんなら何て言う?」 「『そのままで良いです』かな?」 「…それじゃ割れそうじゃない?」 「………」 「………」 「じゃあ、『ボクが使います!』」 「えええ?!」 |