Clap
ここから下は拍手用のお礼文になります!
今はこの1話だけですが、そのうち違うCPのお話も増やしていく予定です。

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「………雨、ですねィ……」




ふと、俺の隣でぼーっと外を見つめていた総悟がポツリと呟く





「……突然何言い出すかと思えば……今更だろ、朝からずーっと降ってんだろうが」



机に向かったまま顔を総悟に向けずに返事を返す


それに対して総悟は身動きもせずに相変わらず外を見つめていた




「雨が降ると、憂鬱になりやせん?……」



「じめじめするし、気分はあんまよくねぇが……そこまでじゃねぇ」





どちらかというと雨は好きな部類に入る、と自分ではそう思う


溜まった書類(ほとんど総悟関係だが)を手際よく片付けていると


総悟が小さく俺に語りかけているのか独り言なのかどちらとも取れるようなしゃべり方でしゃべり始めた





「俺ァ……雨があんまり好きじゃありやせん……」



「…………………………」



「雨を見ると……色々と思い出したくねェモンまで思い出しちまうんでさァ…………」











「姉上が死んだ時も、こんな感じに雨が降ってやしたねェ………」












最後に小さく、呟かれた言葉。



それと同時に思い出される総悟の姉、ミツバの顔




それまで動かしていた手を止め、総悟の方に顔を向ける



いまだ外を見つめている総悟の顔はなんとも例え難い表情をしていた



哀しんでいるとも取れるし、いつものやる気のない表情にも取れた



哀しんでいると俺が思ったのはいつも総悟の顔を見ているからか


それくらい、僅かな変化だった







「……総悟」





思わず口から出ていた






「…なんですかィ?」




「手、出せ。」




「…? こうですかィ?」





すっとこっちに向かって大人しく手を出してくる


その手にコロンと2,3個飴を載せた





「は?」


「やる」



「……………」

「……………」





しばしの沈黙。


それを先に破ったのは総悟だった





「っぷ…くくく………土方さん…くく」



あまりにも可笑しそうに笑いつつ俺の名前を呼ぶ総悟に苦笑しつつ返事をする




「………なんだ」



「いや……飴って……くく……もう俺ァ子供じゃねェんですぜィ?」



「っるせ……てめぇが珍しく静かだからこっちは心配してやったってのに……」



「心配して、どうしようか思い悩んだ結果がこれ、ですかィ?」




飴を指で摘まんでひらひらとこっちに見せ付けるようにしてくる総悟に多少イラっとしたがそれをなんとか抑えた





「それでも舐めてろ」




イライラして新たにタバコを取り出して咥え再び書類に目線を落とした俺の背中にずしっとした重さがかかった




「おい、てめぇ……何してやがる」




全体重を俺の背中に預けている総悟に向かってドスのきいた低い声で怒りを込めて言うと


それを思いっきりスルーした総悟はさらに体重をかけてくる




「っおめーんだよ!離れ、ろ!」




いい加減殴ってやろうかと思い始めた頃、ぼそっと後ろで呟く声が聞こえた







「土方さんにこうして心配してもらえるなら、雨も案外いいもんかもしれやせんねェ……」




完全に不意打ちだったその言葉に俺は返す言葉を失くしてしまった



それをいいことに飴を口内でころころと転がしつつ総悟がいいように体重をかけて遊んでいるので



いい加減一発殴ろうと振り向いた瞬間口に何かを押し込まれる




「てめぇいい加減に…んぐっ!?っ何入れ……って甘ぇ…」


「さっきの飴でさァ、書類の片づけで疲れてるだろィ?」


「誰が書類を増やして疲れさせてると思ってんだ?総悟君よぉ」


「さぁ?誰でしょうねィ、俺ァ知らないんで」


「上等だコラ……忘れてんなら殴って思い出させてやらぁ」





その言葉から始まったいつもの喧嘩の中、
普段の表情に戻った沖田を見て内心安堵し、
油断した土方がバズーカに打たれるまではあと数秒後のお話――









拍手ありがとうございました!!


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