基山緑川狩屋霧野


ちいさくてかわいい緑

「俺ね、人魚姫になりたかったんだ」

「どうして?」

「泡になって消えたかったの」

「…へんなの」

ふとしたきっかけで昔緑川とした会話を思い出した。大掃除の折りに見つけた本棚の奥にしまってあった人魚姫の本はぼろぼろだが、とても懐かしく感じる。もっとも、緑川も今となっては人魚姫になろうなどとは言わないだろうが。

「ヒーロトっ、何してるの?」

掃除の手が止まっているのを目ざとく見つけ、緑川がこちらに寄ってきた。この部屋の担当は俺と緑川だけで、緑川はさっきから色々な物に興味深々でなかなか掃除がはかどっていないようだった。…だから、俺だけは真面目に掃除しようと思っていたのに、不覚。


濁った蒼
※公式との齟齬があります。

「霧野センパイ、お腹すきません?何か奢ってくださいよ」

「…はあ?何で……」

「うっ、いたたた、何か食べないとお腹が痛くて死んじゃうかも…」

「お前なあ……。分かったよ、何が食べたいんだ?」

「…じゃあ、ラーメン」

「ラーメン…?この辺にラーメン屋なんかあったか…?」

「ある人から、雷門と言えばラーメンだ、と聞いたんですけど」

「ラーメンねえ……。ところで、話は変わるが、世界一売れてるものは世界一良いものだと思うか?」

「はい…?はあ、まあ、売れてるんなら良いものなんじゃないですか?」

「じゃあ、俺の家に来い。世界一売れてるラーメンを食べさせてやろう」

「…は?」



****
「ほら、三分経ったぞ」

「いや、まあ予想はしてましたけどね…カップ麺って…」

「間違いなく世界一売れてるラーメンだろ?」

「霧野センパイって性格悪いですよね」

「…お前ほどじゃないだろ、狩屋」



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