I will be Cinderella.刹那苦しげに抱いて欲しいと懇願してくる風丸に俺は首を振る。お互いに好き合っていても駄目なものは駄目なのである。 俺を邪魔するのは常識とか他人の目とか、そういうどうでもいいものなのに、どうしても風丸と事に及ぶことは出来ない。今は幸せでも結果それは将来的に俺達の足枷になるに違いないし、もし実際やってみて風丸に幻滅されたくない。
つまり、俺のわがままなのだが。
風丸も風丸である。お互いに好意を抱いていることは気づいていない振りをしていたのに、FFIが始まった頃から急に抱いて欲しいなどと言うようになった。好きも愛してるも無しに、だ。
俺が首横にを振る度に風丸は悲しそうに目を伏せ、それでも再度懇願してくる。そんな繰り返しが数度続いてから、風丸はいつも諦めて自室に戻る。ただ、これは深夜俺の部屋での場合であって、風丸の懇願自体は練習の休憩時間であろうと食後の片付けの最中であろうと行われるのだが。
それが、今日は少し違った。 昼間、一切風丸は俺に話しかけてくることが無かった。俺から話しかけると、一応は返事するのだがどこかはぐらかされている気がした。 それでも何時ものように風呂のあと、11時少し過ぎに風丸は俺の部屋に来た。
だがおかしい。沈痛な面持ちで視線をさ迷わせたまま何も言わないのだ。いつもなら開口一番に、抱いてくれ、だというのに。 そのまま数分が過ぎ、そろそろ沈黙に耐えきれなくなったので何か言わなければ、と思ったころにやっと風丸が口を開いた。
「円堂、頼む。一度でいいから…抱いてくれ。」
やはりいつもと同じ頼み。それにいつものように首を横に振ると、風丸は一瞬悲痛そうな面持ちで俺の目を覗き込んだ。 それから、意を決したように立ち上がり、お誂え向きにベッドに腰かけていた俺を風丸が押し倒した。
俺が風丸の肩を掴み押し返す前に、風丸の唇と俺の唇が重なった。無理矢理口を開かされ風丸の舌が口内に侵入してくる。こんな事は初めてで、戸惑いと共に絶望を感じた。俺も、多分風丸もファーストキス。友達同士としては逸脱した行為だ。 保ってきた脆い壁が崩れ落ちる感覚とともに、風丸の右手が俺の下半身をまさぐっているのに気付いた。まさか、このまま行為に突入するつもりなのだろうか。駄目だ、それだけは駄目だ。
お互いの酸素が足りなくなった頃、風丸と俺の唇が離れ、片足をベッドに掛けていた風丸は降りて床にべたっと座るようにした。
俺の方を一瞥してから風丸は俺のズボンとパンツを纏めて下ろし、それから恍惚そうな瞳でじっと俺の秘部を見つめた。 恥ずかしいのと悔しいのと、色々な感情が俺の中で渦巻くけれど何故か体がまるで硬直したみたいに動かせなかった。
萎えたままの俺自身を風丸は一通り眺めてからそれを手に取り躊躇いなく口に含んだ。汚いからやめろとかそういう考えよりも先に快感が俺の中を駆け巡る。 暖かく柔らかい口内で風丸の舌がいやらしく俺自身を嘗め回す。もしかして風丸はいつもこういう事をやっているんじゃないかと錯覚してしまう、けれどそれはあり得ないと確信していた。何故なら風丸は俺に従順で一途だと痛いくらいに知っていたから。
しばらくしてやはり駄目だという心情が蘇ってくるがもう遅かった。俺自身は風丸の口に収まらないくらい大きく、そして完全に勃ち上がっていた。 そんな俺の様子に風丸は満足そうに笑った。よだれでぐちゃぐちゃになった顔で蠱惑的な笑みを浮かべるので凄くエロい。視覚的に耐えられないのに目を離せない。
駄目だ、駄目だ、駄目だ。 けれど男の本能としての射精感がもうそこまで来ていることに気づいていた。
駄目だ。せめて口内に出すことは避けなければ。……あ、
ごっくん。
「ごめんな、円堂。」
今夜俺は幼なじみを汚しました。
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そのうち風丸目線も書きたいような。
▽11:Jan:9th/top
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