天は満更でもなさそうだ※微妙にゲームネタバレ注意。



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「ジャンルカー!ジャーンールーカー」

橋の上からチームメイトがこちらを見下ろしてくる。きっと練習に呼びに来たのだろう。けれど、今はそんなことより女の子たちと雑談することの方が数段大切だ。

「すごいねージャンルカくん」

「ねー。ゴンドラなんて初めて乗ったよー」

日本から来たという少女たちは素直に誉めてくれるので心地が良い。日本が美徳の国というのはあながち間違ってもいないのかもしれないな。笑顔もかわいいし、日本の男たちが少し羨ましい。これで、

「ありがと。でも俺なんてまだまだだよ。俺が師事してる方なんて――」
「ジャーンールーカー!れんしゅー!」

チームメイトが何やら叫んでいるが無視を決め込む。あの人が帰ってきたからどうせ俺はスタメン落ち。行っても意味なんてないのだ。

「えっ、ジャンルカくん、練習ならいかないと!」
「邪魔しちゃったかな、ごめんね」

「え……あ、あぁ。」

これで、融通がきけば完璧なのに。女の子達は岸に寄ると笑顔で去っていった。




「さっきの子達、可愛かったな」

だったらメルアド聞く暇くらいくれても良いだろ。無性にイライラしながらも捕まってしまったものはしょうがないのでマルコについてグラウンドに向かう。

「ジャンルカー?怒ってんの?」

当たり前だろ。空気読めよパスタ野郎。女の子よりサッカーが大事な……スタメンのお前には俺の気持ちなんて分かりっこない。みんながあの人を待望しているのを感じる度に自分の存在価値を否定されているように俺が思っているなんて知らないんだろう。

「でも練習行かないと、フィディオ怒るぞー。あの人が帰ってきたからって張りきってるからなー」
「うるさい!」

お前まであの人の事を言うのか。そりゃあ俺じゃああの人には何も勝てない。人柄も人望も、もちろんサッカーセンスだって。理解してるからこそ歯がゆくて悔しくて、やるせなくなる。

「いらいらするなって。そんなんじゃスタメン取れないぞー」
「どうせ無理なんだから、俺の勝手だろ!」

再び怒鳴り散らすとマルコの舌論が止まった。不思議に思い隣を見ると、意味が分からないというような顔をしている。

「何で?」

は?
「何で決めつけるんだよ」
「だって、俺じゃあの人には勝てるわけないだろ!」
「なにそれ。勝手に自分の限界決めて言い訳してるだけじゃん」

「ち、違う!」
「違わない。諦めたらそこで試合終了なんだよ、ジャンルカはまだ終わってないだろ」
「……っ」
「ジャンルカはがんばってるよ。みんなそれくらい知ってるって」
「……マルコ…」
「ほら、練習しよう!」

ね、と笑うマルコには何故だか怒る気がしなかった。
気がつくと、グラウンドはもう目の前。
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偽物すいません。楽しかった!

10:Sep:18th/top