れいにい いん ざ、まい まいんどアニメの風丸さん離脱あたりから派生してます。病んでる円堂キャプテン。
円風。





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勝てないと知りながらもなお戦おうとできるほど、俺は強くも自信家でもない。そもそも、普通の人間が宇宙人と張り合おうとする時点でおかしいじゃないか。そうだ、だから俺が普通なんだ。あいつらとは――円堂とは、違うんだ。
だったら仕方ない。俺はここで戦線離脱。それくらい許されるだろう?なあ、円堂。

「俺は、お前みたいに強くはなれない、よ」

思わず口からでた言葉は、まごうことなき真実で、俺達の間には数秒の沈黙が流れた。

「ふっ、ざけんな!」

パシン、なんて小気味良い音がした後頬が熱くなる。俺の視線の先には顔と手のひらを真っ赤にした円堂がいた。怒っているのだろうか?それとも呆れている?俺のこと嫌いになったかな。まあ、それも仕方のないことなのかもしれない。だって俺と円堂は“違う”んだから。

「……あ。ご、ごめん。痛かったよな」

「ううん。痛くない。」

平静を取り戻したのか、円堂が言いにくそうにしながらも謝ってくれた。痛くない、なんて嘘。多分今俺の頬は真っ赤なんだろう。それでも謝ったりする弱気な円堂を見たくなかったから、小さな嘘を紡ぐ。

「ほんと、ごめん」

「だから謝るなよ…そんな落ち込んだ顔してちゃキャプテン失格だぞ」

あ、でも今はもう俺にとってはキャプテンじゃないのかも。なんてことを、俯く円堂を見上げながら考えた。まだ俺がサッカーを初めてからそんなに経ってはいないけど円堂がキャプテンとしてここにいる。それは俺がサッカーをする大きな理由だったんだと思う。

無言を保ったまま円堂は俺の隣に腰を下ろした。俺も言いたいことは全部言ったつもりだから何も言わないまま静寂が続く。
それを壊したのは円堂の呟きだった。

「キャプテン失格、か」

「あ……言い過ぎた、か?」

よく考えると、こんなに落ち込んでいる円堂は初めて見るかも。いつもの円堂ならもっと明るく笑い飛ばす。違う、違う、こんなの円堂じゃない。嫌な予感がする。

「いや。分かってるんだ。俺、最近どうも自信がなくってさ」

「え、」

まさか円堂からそんな言葉が出てくるとは思っていなかった。あらぬ方を見つめている円堂はやっぱりいつもと違う。そのことが俺を不安にさせた。

「だって敵がどれだけ居るのかさえ分からないんだぜ?そのうえ人間じゃないなんてさ。これで、自信満々!って状況でいられるわけがないよ」

「そ、それは」

嫌だ、嫌だ。円堂が俺と同じだなんて。駄目なんだよ、円堂。お前は俺よりずっと高みにいなくちゃ。だってそうだろ?お前は俺達のキャプテンなんだからさ!なあ、円堂、

「そのうえ風丸が俺から離れていったりしたら、これ以上戦うなんて絶対できないよ。なあ、風丸。居なくなるなんて言うなよ」

「え、……あ、嫌」

円堂が俺の肩を掴み押し倒す。下はコンクリートだから体重を掛けて押されるとすごく痛い。やだ、円堂。こんなのお前じゃない。俺の憧れていたみんなのキャプテンは、そんな虚ろな顔をしたりしない。

「なあ、風丸。どこにも行ったりしないよな?」

さらに強く押される。痛い、痛い。腕が契れそうだ。分かった、分かったよ、円堂。俺が悪かった。ごめん、ごめんって。行かない、どこにも行かないから。許して、

「ずっといっしょだ」

そう言うと満足したのか手の力を緩める。それでもじくじくした痛みは残っているけど、これも円堂なりの所有痕なんだと思うとなんだか幸せ。
そうして、円堂は優しい口づけをくれる。やっぱりいつもの円堂じゃなかったけど、まあ、いっか。円堂の頬に手を当てて、小さく微笑んでみる。うまく笑えたかな?

それから、二人でキャラバンに戻った。


……それから、夜にはふたりで泣いた。

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どっちかと言うと風丸離脱はゲームの方が好きです。子供向けゲームで集団リンチ(違)ってすごい。
本当はもっと病ませるつもりでしたが、そんなに病み系得意じゃないので無理でした;




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