「風丸…なににやにやしてんの?」
「…半田か。いや、指輪見てんの」
風丸の首にかけられたチェーンの先には、たしかにきらきらと光る指輪がつけられていた。それを半田に見せるように指でつかむと、風丸はまたにやにやと笑う。
「…なに、彼女からもらったの?」
「彼女からなんてもらえないよ。円堂がくれたんだ」
「えっ…」
「肌身離さずつけてんの」
「はっ…?」
「なあ…円堂、お前ってホモなの?」
「…違うけど。嫁もいるのに変な風評被害たてないでくれるかなー」
「…だって、指輪が…」
「指輪…?」
「風丸が、円堂からもらったっていう指輪見てにやにやしてたから…」
「あー…それは…」
「やっぱり何かあるのか!?」
「いや、風丸って金属アレルギーなんだよ…」
「え、そうなんだ」
「小さいときさ、俺と風丸がおもちゃの安い指輪で遊んでたら悪化しちゃって…」
「ふーん」
「俺、責任感じちゃってさ、『金持ちになったらアレルギーが出ない指輪買ってあげる』って言っちゃって…」
「アレルギー出ない金属とかあるのか?」
「あるんだ……」
「何?」
「純金」
「へっ…?」
「二十歳の時大金はたいて同性の友達に指輪を買ってあげた俺ってどうなのかな…」
「…純金…。じゃあ、肌身離さずつけてるのは…」
「盗まれたりしたら怖い、ってことだろ」
「指輪見てにやにやしてたのは…」
「最近、金の価格上がってるからなー…」
「……なんというか…お高いアレルギーだな」
「…な、」
▽12:Sep:26th/top
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