捏造がいろいろと酷いです。性格改変も酷いです。広い心でどうぞ。
大学生のつもり。




「あー…、半田、」

「なぁに?」

忙しい忙しいとばかり言っていた染岡と久しぶりに休みの予定が合った。会える、と連絡を貰った俺は上機嫌で染岡の家へ遊びに言ったが、そうしたらこんどは、疲れた疲れたの連呼だった。だったら呼ぶな、とは言わない。そんなことを言って、本当に呼んでくれなくなったらすごく困る。それに、たまに会える時くらい楽しくしていたいのだ。
なので、今日の俺は大体が染岡の言うことに大人しく従っていた。いい子で居るのは難しい事ではない。染岡とはもう付き合いも長いから機嫌を損ねない為の方法もよく知ってる。
だから、むすっとした顔のまま、ベッドに腰かけた俺のワイシャツのボタンを外す染岡がどうしてそんなことをきくのか最初は意味がわからなかった。

「お前、俺のどこが好きなんだ?」

思い出したように問われたそんな言葉を、染岡が言うとは思えなかった。普段なら大爆笑ものだ。状況が状況(同意していない、という点ではレイプされかけているのと等しい)なだけに、笑いはしなかったが。
けれど、今日の俺は冴えてた。染岡の言うとおりにしてたらいい、という思いが精神に余裕をもたらしていたのかも知れない。数瞬の間のあと、俺は言った。

「お前には分からない深い部分で愛してるんだよバーカ、…って、吹雪に伝えて」

「なっ…!?」

驚いた顔をする染岡の腕を引っ張り、その勢いのままベッドに体を乗せる。そしてその染岡の体に馬乗りになるようにして、俺は呆れたように言った。

「染岡がそんな好きとか愛とか気にするわけないじゃん」

「…なんで分かったんだ…その、吹雪からきけって頼まれたこと」

「染岡を愛してるからだよ」

そう言って染岡の隣に、ぼすん、と倒れこんだ。染岡の臭いがして、不思議とドキドキしてしまう。もうそんなことくらいでドキドキするほどうぶではないはずなのに。もしかして、自分でも知らないうちに臭いフェチになっていたのだろうか。

「……愛って、お前」

染岡は懐疑の目を向けてくるが、それをかわしながら俺は気になったことを糾弾する。

「吹雪に会ったんだ」

「あー…それは、」

「浮気だ。二股だ、さいてー」

「どっちとも付き合ってねぇよ」

「そうだね、俺が勝手に染岡を愛してるだけだもんね、ごめんね。…でも、吹雪と会ったことは認める、と」

俺が言うと、染岡は諦めたような顔をして、「ま、いいじゃねぇか」と言った。…よくねぇよ。

「でもまあ許す。俺は広い心の持ち主だからな」

「広い心の持ち主は人の腕をつねったりしないんじゃないか?」

染岡の言うとおり、俺の右手は全力で染岡の左手をつねっていた。染岡の心を物に出来ないなら、せめて体にだけは所有印をつけておかなくてはいけないから。…というのは後付けで、広い心の持ち主だっていらいらの捌け口くらいは必要なのだ。

「染岡にとってさ、おれは最初から身内だったんだよなー」

「どういうことだ?」

「染岡はさ、身内にはとことん甘いじゃん。…かわりに余所者にはとことん突っかかるけど」

「あー…」

染岡にも自覚はあったのか。さすがに二十歳を越えた今ではそうでもないのだろうけど。

「とにかくさ、身内にカウントされちゃった時点でもうダメだったんだろうな」

返事を決めかねているようだった。だけど、俺には本人以上に染岡を理解している自信がある。

「…染岡が記憶喪失になって二つに分裂したらいいのに。そしたら、はじめからやり直せるのに」

「分裂する必要はあるのか!?」

「俺は心が広いから。片方は吹雪にやるよ」



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