×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -

※名前変換がありません




目が覚めたら、大変なことになっていた。

「天女様!」
「天女様が目を覚まされたぞ!」

て、天女…?

むくり、と体を起こしてみると、全然知らないところに寝かされていたと気が付く。あたし、神様(仮)と話した後、空から落ちて…あれ、それからどうなったんだっけ…?そう思ってあたりを見まわすと、京都とかにありそうなイメージのお屋敷と、きらきらした瞳でこちらを見つめる、子供たちが目に入った。

「ねえ、ちょっと」

そういえば、天女とか言われた気がする。どういうことだろう。そして、ここはどこだろう?
事情を説明してほしくて、一番近くにいた眼鏡の子に声をかけた。

「しゃべった!三反田先輩、天女様がしゃべりましたよ!」
「落ち着け、乱太郎。見ればわかる!ここは失礼のないようにだな…!」
「わあ、すごいスリル〜」
「…………」

ダメだ。こりゃ。なぜかあたしを遠巻きにして騒いでいる、三人の子供から目をそらす。緑色の着物?みたいな服の子がひとりと、水色に模様の入った服の子がふたり。誰か他に、話が出来そうな人、いないかな。そんな風に困っていると、がららと、襖が開いた。

「そんなに騒いでは駄目だよ。お客様が起きてしまうじゃないか」

顔をあげて、入ってきた人を見上げる。そこには、桶を手に持った、穏やかな雰囲気の人が立っていた。彼は起き上がっているあたしを目にすると、微笑んだ。

「すみません。驚かれましたよね」
「いや。大丈夫だけど」

あたしはその人の、人の好い笑顔から目をそらしてそう応える。何だこの人。初対面の人間に、なんでこんなに愛想がいいんだろう。

「それより、ここはどことか、どうしてここにいるのとか、説明してもらってもいい?あたし、ちょっと意味わかんなくて」
「そうですね。では、左近。すまないけれどお粥を中へ」

彼は後ろにいた青色の服の子にそう言うと、あたしの傍までお粥を運ばせる。

「終わったら、数馬たちと外へ出ていてくれないかな」
「わかりました。ほら、乱太郎、伏木蔵。行くぞ」

失礼しましたー。子供たちが去って行くと、残されたその人は、あたしがいる布団の隣にやって来た。

「お話をするその前に、ひとつ、お尋ねしてもいいですか?」
「な、なによ」

それまでニコニコしていた表情を、急に真剣にしたものだから、あたしはどんな質問が飛び出るかと、ちょっとだけ身構える。そんなあたしに、彼は言った。

「どこか痛いところは?熱っぽいとか、寒気がするとか、体に異変はありますか」

何よりもまず、体の具合を心配されてしまった。なに、この人、変わってる…。考えながらも特にないと伝えると、

「そうですか。それは良かった!」

飛び出した花まる笑顔。う、なんだこれ、眩しい…!あたしは輝いて見えるその人を視界から遮ったのだった。

back | next | top