※来神時代
「新羅はさー、バカなの?」
「いやなに、その失礼な質問」
「じゃあバカか」
「失礼だな」
どっちにしろ失礼なんじゃん、と言い捨て臨也は溜め息をついた。我ながらくだらない質問だと頭の片隅で感じ目を細める。目の前では変わらず新羅がピンセットを片手に既に血の渇いた臨也の腕を治療する。
「そもそも、バカは臨也だろ」
「なんで」
「敵いもしない癖に静雄に喧嘩売って、バカみたいに毎日怪我してさ」
言い返した新羅は服に隠れているものの幾度と治療した臨也の身体を思い出しては嘆息した。ほぼ毎日重傷やら軽傷を負いながらも懲りもせずに静雄に喧嘩を吹っかける臨也には別の意味で感心が沸く。
「敵わないとか、負けたわけじゃないのに決めつけないでくれない?」
それにこの負けず嫌い。
「…はいはい、分かったよ。でもせめて毎日君の治療をする僕の身にもなってくれないかな」
毎日毎日、君の身体に包帯を巻くのも飽きたよ、と吐き捨て新羅は巻き終え残った包帯を救急箱に戻す。
「飽きた、て失礼だね。友人が痛い思いをしてもいいって言うのか?」
「自業自得な君に言われたくないよ」
失礼とか言う割には表情一つ変えず、寧ろ笑みさえ浮かべさせている臨也に幾度目かの溜め息をついた。
そこでふと思い出す。
「そう言えば、臨也はなんで私のことをバカだと言ったの?理由はあるよね?」
「あー…」
まさか理由はないだろうと問えば臨也は思い出したように声を上げ視線を宙にさ迷わせる。黙ってしまえば静かな空間。セルティも居ない室内は臨也と新羅の二人きりで夕方の赤が部屋を照らす。
臨也はゆっくり口を開いた。
「新羅ってさ、飽きた飽きたって割には治療ちゃんとするのはバカなのかなー、て話」
包帯が巻かれた腕を見下ろしてはふ、と息を吐く。カチカチと時計の針が進む音が静寂が包む室内にただ唯一鮮明に音を立て17時が過ぎるのを伝えた。
「……なんだ、そんなこと」
ああ、早く片付けなければセルティが帰って来てしまう。新羅はぼんやりと考えて救急箱を棚に戻し振り返ってソファーに座る臨也を見た。
「それは大概僕も、」
友達思いだからかもの
明日もきっと変わらぬ会話をするのだと感じて、新羅は自嘲気味ににこりと笑った。
明日も晴れればいいな、
(さて臨也、セルティが帰って来るからさっさと退散してくれないかな)
((こいつのどこが友達思いなんだか…)はいはい、邪魔物は退散しますよ)
end
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リクエスト有り難うございます!
大分遅れてすみません…
×より+な感じの友情…ですが、なんか違いますかね。仄々を重点にしたら来神時代に…ry
申し訳ありません!思ってたイメージと違いましたらおっしゃって下さい!いつでも書き直しお受けつけしております。
100930
(変わらぬ日常を)