※来神時代




「まずはそこの計算が…ってあー違うよ、違う!その公式はさっきのだから…てちょっと聞いてんの?理解してる?」

「……ッだあああ!うっせえ!!」


放課後の教室、影が二つ。
机を挟んで二つの影――折原臨也と平和島静雄は教科書とその隣に広げられたノートを睨む形で向き合っていた。

そして丁度、そんな状況から30分は経過した頃だろうか。教師の説明以上に上回る言葉を並べて教えてくる臨也に静雄は持っていたシャーペンを真っ二つに折ると同時に怒鳴り声を上げた。


「ちょっ…誰の為に勉強教えてると思ってんの。教えて下さってる俺に対してうるさいなんて言語道断だよ?分かってんのかなーシズちゃん」

「うっせえもんは仕方ねえだろ。つーか手前の説明は逐一ネチネチしてて聞いててイライラする」

「なにそれ。どーせ教師の説明聞いても分からないから懇切丁寧に教えてやってんのに」

「だから、その恩着せがましいのもうぜえんだよ!!」


イライラを含ませた静雄に更に苛立ちを増幅させるような素振りで臨也は皮肉めいた表情で言えば、矢張り口喧嘩へと発展する。
そもそも何故こうなったのか。
理由は簡単で、先日行われた期末試験にて静雄は赤点を取り追試を受けることになった。そして追試は明日。その予習勉強を何故かサボりが多い割に学年中成績が結構いい臨也が教えることになったのだ。


「あーもう怒鳴らないでよ。俺、怒鳴られるの嫌いなんだよね。それに分かってんのかな?明日の追試、落としたら困るのはシズちゃん、君だよねぇ?」

「……うっ、」

「まあ、単位落として進学出来なくなるのは自業自得だけどさー。それってきっと弟の幽君も悲しむだろうなぁ…」

「…………わ、わあったよ。やりゃあいいんだろーが!やれば!!」


わざとらしく静雄の弟の名前を出しながら臨也は大袈裟に肩を竦めさせて教科書に書かれた暗号染みた数式を見下ろせば、簡単に静雄は折れる。

―――扱い易いよ、ホント

内心臨也は面白くなさそうに思いながらも再び教科書を見下ろして新しいシャーペンを手にした静雄にニコリと笑みを向けた。


「よろしい。じゃあそんなシズちゃんに勉強を教える前に一つ問題でーす」

「あア?」


人差し指をピンと立てて目下の教科書を片手で閉じれば、怪訝に見遣る静雄へ三日月に歪めた口から唐突にその言葉を述べる。外は後少しで夕陽が沈む。


「なんで、」


一瞬、切なげな色を見せた臨也の表情は夕陽があたりオレンジ色に映えた。そしてゆっくりと唇を動かす。

――シズちゃん、君は分かるかな?










「俺は大嫌いな君に勉強を教えてるでしょーか?」


ほら、ヒントは直ぐそば。

きっとそれは数式なんかよりも厄介で、数式よりは複雑じゃないんだよ。





式では表せない
(じゃあ、臨也)
(俺はなんで嫌いな手前に教えて貰ってると思う?)
(――理由は一緒だ)






短い…!
色々すみませんorz



(公式では表せない)
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