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「レギュラス!!」
「ジゼル!!」
タッ、と駆けだして近寄ると、レギュラスは持っていたトランクケースを放り出して私を抱きしめるとそのまま抱き上げる。

「久しぶりでしたね、ジゼル。また背が伸びたのかな?」
「うん!レギュラスも髪の毛伸びた?」
「そうかい?」
レギュラスは満足そうに笑うと私を下ろしてくれた。
最近は魔法省で忙しくしているらしく、なかなかマルフォイ邸に遊びに来れないレギュラス。なので、今日は私がブラック邸に遊びに来たのだ。

「坊ちゃん、お荷物はお部屋でよろしいですか?」
「あ!クリーチャー!!」
いそいそ、とレギュラスが乱雑に置いたトランクを見つけてクリーチャーが寄ってきた。思わず声を上げれば、クリーチャーは私を見てうやうやしく頭を下げる。
「これはこれは、ジゼルお嬢様」
私はその反応に苦笑しながら「こんにちは」と小さく言った。
「あ、クリーチャー。運び終わったら、ジゼルに何か甘いものを作ってくれる?」
思い出したようにレギュラスはそう言って、私の頭にポンと手を乗せた。
「!!」
「かしこまりました。」
「わたし、ブラウニーがいいわ!クリーチャーの焼くブラウニーだいすき!」
そう主張すれば、レギュラスは「って言ってるけど、できる?」とクリーチャーを見た。

「もちろんでございます」

誇らしげにそう言ったクリーチャーは「後ほど、客間に配膳いたします」とお辞儀をすると、荷物と一緒に一瞬で消えて行った。

「お仕事、おつかれさまっ」
「ありがとう。ジゼルが出迎えてくれるなんて、驚いたよ」
「びっくり?」
「ええ。疲れも飛んで行ってしまったよ」
「本当?」
「本当に」
レギュラスは私の手を引きながらリビングの扉を開けた。中ではヴァルブルガさんが予言者新聞を広げていた。

「ただいま戻りました」
そうレギュラスが言うと、ヴァルブルガさんは「おかえりなさい」と顔を上げた。
「ジゼルはナルシッサが?」
「いいえ。フル―パウダーで一人で遊びに来たんですよ。葡萄酒と一緒に」
彼女は優雅に笑うと、私とレギュラスをソファーへと促した。
「葡萄酒?」
「ナルシッサがジゼルに持たせてくれたんですよ。・・・ああ、レギュラス、着替えに上に行くついでにジゼルに3階の客室を見せてあげてくれるかしら?」
「ええ、構いませんが」
レギュラスは首を傾げた。

「ジゼル、どこでも好きな部屋を選びなさい」
アルトの声が、私に向かった。
レギュラスは「?」と頭にクエスチョンマークを乗せている。

「あのね、今夜はレギュラスのお家にお泊りするの!」
「・・・えっ!?」


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