城へ巨大獣(ギガント)と共にやってきた魔女に帝都は騒然としていた。結界が消えてからというもの、魔物に怯える生活を続けていたが今回のことでそれがより一層強くなったのだろう。これまで騎士団が帝都の守りを固めていたからこそ結界がなくても一度も魔物に帝都が襲われることがなかったというのに。帝都の住民…特に貴族たちはそれを知らないとでもいうように騒ぎ始めたのだ。
しかし、ユーリたちにはそんな騒ぎを落ち着かせている暇などなかった。目の前に姿を現した魔女が…リクが、再び姿を消してしまったのだから。彼らはすぐに彼女を追いかけようと行動を始めたが、その騒ぎを放っておくわけにもいかない。


「私がここに残り、騒ぎをなんとかします」


そして、声を上げたのは皇帝であるヨーデルだった。
確かに、皇帝が帝都を離れるようなことは早々あっていいことではない。しかし今回のことは話が別だ。誰よりも早くリクを思い出したヨーデル。共に旅してきたユーリたちにも負けないくらい、彼もリクを追いかけたいはずだった。
何よりも、自分たちの失態の尻拭いをヨーデルにさせることをフレンは良しとしなかった。民の鎮静化は騎士団が行うと。


「もちろん、騎士団の方には手伝ってもらいます。けれどフレン、あなたまでも残る必要はありません。ここは私が引き受けます」
「ですが、陛下…! あなたは…っ!」
「フレン。リクのこと、思い出したのでしょう?」
「っ!」


全てを知っているかのようなヨーデルの言葉にフレンは息を詰まらせた。
その通りだった。リクが立ち去る際に見せたあの微笑み。あれを見たフレンは全てを思い出したのだ。今まで名前しか覚えていなかった彼女との記憶を。彼女が自分にしてくれたことも全て。
アレクセイのように。エステルのように。泣き出してしまいそうなったのを必死に抑え込んでいたのだ。自分は騎士団長。城の中で情けない姿を晒すわけにはいかない。


「それに…リクの狙いも恐らくこれです」
「どういうことですか?」
「帝都にわざわざ巨大獣と共に乗り込んできたのは、帝都を混乱させるためでしょう。その混乱さえあれば、城にいる我々は簡単に彼女を追いかけることはできませんからね。…私が、民の騒動を放っておくわけがないということも分かっているのでしょう」
「…っ陛下、しかし…」
「では、これは命令です。フレン・シーフォ騎士団長」


それでも渋るフレンに向け、ヨーデルは"皇帝"の顔で彼に命令を下す。


「リクを必ず帝都に…私の前に連れてくるのです」


フレンは息を飲んだ。彼だって、彼女にいち早く会いたいはずなのに。
自分は託されているのだと、改めて思い知った。フレンはぐっと気を引き締め、騎士団長らしいまっすぐな敬礼をヨーデルへと向ける。
――必ず。そう強く一言返答し、フレンはリクを追いかけるべく、準備に取り掛かった。



***



「なるほど。そういうことだったのね」
「じゃあ、帝都は今も馬鹿騒ぎってこと?」
「ああ。陛下がなんとかしてくださっている。だから僕たちは早くリクに会いたくて追いかけてきたんだけど…」
「まさかバウルが迎えに来てくれるなんてね」


リクを追いかけ、帝都を出たユーリたちの目の前に現れたのは海の向こうからやってきたバウルだった。バウルがいるということはジュディスがいると思っていたが、どうやら彼は単独でユーリたちの元に来たらしい。
バウルが何を思っていたのかは分からなかったが、リクの記憶が戻り、彼女を追いかけようとしていることは分かっていたのだろう。彼は二年前と同じくフィエルティア号に彼らを乗せ、ジュディスたちのいるザウデに引き返したのだ。…しかもかなりの速さで。


「…ボク、フィエルティア号に乗って初めてリクのこと思い出したんだ。二年前、ヘラクレスに突入するときも、バウルの速さにリクと一緒に目を回してたなって」
「はは、なんだか少年らしい思い出し方だねぇ」
「それ、どういう意味さレイヴン!」
「うちも、リク姐に謝られたあの瞬間に…全部、思い出したのじゃ」


ジュディスたちと合流したユーリたちは互いに状況を説明した。
そのおかげか、誰がリクを思い出しているのかも把握できたのだ。今のところ、二年前彼女と旅を共にした仲間の中で、リクのことを思い出していないのはリタとユーリの二人だけとなっている。ここにはいないもう一匹の仲間…ラピードはデュークと共にいるとレイヴンからの報告があった。レイヴンはラピードに記憶を戻されたようなものだ。ラピードはリクを思い出していると見て間違いないだろう。
もう一つのとっかかりはデューク。その名前を聞いてジュディスは腕を組む。


「デュークは今までと変わらず、神出鬼没よね。少なくとも、二年前のあの日は私たちと同じように記憶はなくなっていたようだけど…」
「でも、どうしてラピードと一緒に? その組み合わせが異色すぎて予想もつかないよ」
「デュークが記憶取り戻してるってんなら、可能性はあるんじゃない? あいつも、魔女を追ってたみたいだし」
「じゃあデュークもわたしたちと同じようにリクを…」


二年前のあの日。リクがこれからどうなってしまうのかを知っていたのはデュークだけだった。誰にも語らないリクに対し何も言わなかったが、彼は彼のやりたいように彼女を救おうとしていた。リクが勝手にやるのだから、自分も勝手にやるのだと、なんとも彼らしい行動の仕方だ。
…おかげで、彼女が記憶から消えてしまうその直前まで自分たちは真実を知ることがなかったのだから。
けれど、それほどまでにリクを想っていた彼なら。記憶を真っ先に取り戻していても不思議ではないし、取り戻したのなら余計に彼女のために行動へ出ているはずだ。二年前までと同じように自分たちには何も告げず、たった一人で。


「――デュークにとっても、あいつは特別な人間なんだな」


あの、人間嫌いなデュークにとっても。
今までエステルたちの話を聞いているだけだったユーリが、低い声でそう呟いた。彼の隣にいるリタも、どこか不満げな顔をしている。
リクについて情報をまとめていたエステルたちはそんなユーリたちの様子に言葉を止める。自分たちは全てを思い出しているからこそ、ここまで話し込めるものの、ユーリとリタはまだ思い出せていないのだ。…それが"距離"を生んでいる。


「リタ、お前は何か思い出したか?」
「全然。…って言いたいところだけど、そうでもないのよね…。知らない奴の話のはずなのに、今の話聞いてたらなんか…腹立ってきちゃって」
「腹が立つ…?」
「あたしにもよく分からない…分からないけど、なんだかすごく腹が立って、悲しくて、もどかしくて、悔しい……その"リク"って名前を聞く度に頭痛がするのよ! …言葉になんかできないわ…」
「リタ…」


いつもまっすぐ目の前のものを見つめていたリタの瞳が泳いでいる。彼女も、自分の感情を理解できずに苦しんでいるようだ。…いつかのユーリと同じように。
リタも自分の知らないどこかで、リクを思い出そうとしているのだろう。エステルは顔を俯かせているリタの背中を撫でた。
自分が忘れているものが具体的にどんなものかは分からない。けれど、自分が大切なことを忘れてしまっているのだと自覚はあった。


「…リタは次期に思い出すと思うぜ。そう自分を追い詰めんな」
「なんであんたにそんなこと分かるのよ…」
「勘ってやつかな。…多分、思い出せねぇのはオレだけだ」
「えっ…な、何を言ってるんですかユーリ!」


リタの背中を優しく撫でていたエステルが声を上げてユーリを見上げた。
エステルだけでなく、この場にいる仲間たちは全員何を言っているんだと言いたげにユーリを凝視している。そんな反応が予測できたのか、ユーリ自身は肩を竦め、苦笑いを零すだけだった。


「あいつのこと、一番最初に気が付いてたのは誰だと思う?」
「それは、ヨーデルじゃ…」
「いいえ、それ違いますエステリーゼ様…。記憶こそ思い出せずとも、リクが世界から消えた違和感に誰よりも早く気付いたのはユーリです」
「えっ…」
「ユーリが誰よりも早くその異変を察し、悩み、行動に移していました。レイヴンさんが言っていた彼女の名前しか知らないまま、彼女を探して世界中を歩き回っていたのです」
「…あら、最近連絡が取れなくなっていたのはそういうことだったのね」


二年前のあの日から、魔道器(ブラスティア)を心臓に宿すレイヴン以外は誰からの記憶からも消えたリク。唯一覚えていたレイヴンも、彼女を記憶に留めておくのは一年ほどが限界だった。
けれどユーリは。ユーリだけは、今日までずっとリクが"世界"にいない違和感と戦ってきたのだ。記憶は戻らない。顔も分からない。どんな人間かも分からない。けれど記憶が残っていたレイヴンが呟いた"リク"という名前が離れず、苛立ち、存在するかもわからない彼女をずっと探してきたのだ。
つまり、一番最初に彼女を思い出したというヨーデルよりも実質リクの存在にのは気付いていたのはユーリということになる。


「…それで、実際にあいつと顔を合わせて会話をしたのもオレが最初だ。ほとんどの奴があいつと顔を合わせて記憶を取り戻してるっていうのに、オレにはその気配がまったくない。ただ直感で動いてるだけなんだよ」
「ユーリ…」
「あいつのことを思い出せねぇ苛立ちが増すばっかりだ。…笑えねぇよ、ほんと。ずっと一緒に旅してたってんなら、すぐにでも思い出せるはずだろ。思い出すべきだろ。なんで出てこないんだよ。―――オレにとって、"リク"はそんなにどうでもいい人間だったってことなのか?」


常に自分のことを二の次にしているユーリが、これほどまでに自分に対する不満を言い連ねるのは珍しいことだった。思わず仲間たちが呆然としてしまうほどに。
ユーリの苛立ちは、リクを探し出すと決意した半年ほど前からと何一つ変わっていない。やっと彼女を見つけて触れられたというのに、本人からあんな離れ方をされてしまったせいか、その苛立ちは増していると言ってもいい。
誰よりも早く彼女の存在に気が付いたというのに、今となっては記憶を取り戻すのが一番遅い人間になってしまっている。それが、ユーリには耐えられなかった。
ユーリが自分でも無意識に苛立つまま言葉を並べたその瞬間、乾いた音が辺りに響き渡った。


「――馬鹿なこと言わないでっ!!!」


ユーリの言葉に激昂し、彼の頬を打ったのはリタだった。
先ほどまでの不満げな表情はどこにいったのか。彼女は顔を真っ赤にし、微かに潤んだ瞳で目を丸くしているユーリを睨み上げていた。


「リクのことがどうでもいいですって…!? あの子の記憶がないからって言っていいことと悪いことがあるわ!! 二度と言わないで!!」
「リタ…お前…」
「苛立ってるのがあんただけだと思ってんの!? あたしだって…あたしだってなんであんたが一番に思い出さないのか苛立って仕方ないわよ!! あの子のことを守ってあげなきゃいけないのはあんたでしょ!? あの子が苦しいときに傍にいてあげなきゃいけないのはあんたでしょ!? なんで…っなんでよりにもよってあんたが覚えてないままのよ…っ!!」


微かに潤んだ瞳からは、やがて大粒の涙が零れ始めていた。その涙は止まることを知らず、怒鳴り声を上げていてもずっと、彼女の瞳から零れ続けていた。
そのままもう一度ユーリに殴りかかろうとしたリタを、エステルが背後から抱きしめて止めた。今しがた全てを思い出したリタは、エステルの胸の中で嗚咽を零している。何故、何故本当に忘れてしまっていたのだと。
自分はリクを救いたかった。何よりも大切な友人であるリクを。けれど咄嗟に突き付けられた真実を前に、リタは彼女を救うことができなかった。彼女を失いたくない。その思いで死にもの狂いで調査と研究を続けていたというのに。
ユーリに怒鳴ったものの、リタは自分自身にも言い聞かせていたのだ。何故覚えていなかったのか。どうして守れなかったのか。どうしてあの子を、一人にしてしまったのか。リクのことを思い出せば出すほど、涙は溢れて止まらなかった。


「…これは私の仮説だけれど…ユーリ、あなたはもうとっくにリクのことを思い出しているんだと思うわ」
「え…ど、どういうこと?」


エステルの腕の中で声を押し殺して泣いているリタを眺め、ジュディスは静かにそう呟いた。
その言葉はユーリだけでなく、この場にいる全員の視線を集める。


「あなたはもう分かっているでしょう? この中の誰よりもリクと時間を共にしていたのはあなたよ、ユーリ。私たちだってリクのことが大切で、大好きだったけれど…あなたには敵わないわ。きっと、この世界の誰よりもあの子を大事にしていたのだから」
「…ああ、分かってる。あいつがオレにとってただの仲間じゃないってことは。でも、だからこそ余計に分からない。どうしてオレは思い出せない?」
「答えはそのままよ、ユーリ。あなたがリクのことを思い出せないのは、リクのことが"何よりも大切だったから"」


ああ、なるほど。そうあっさりと理解したのはレイヴンだった。そして声には出していなくても、フレンもやっぱりかというような表情で苦い顔をしている。
ユーリは相変わらず眉間に皺を寄せたまま、ジュディスを見つめていた。


「リクの存在が消えれば世界は救われる。けれどリクを失うわけにはいかない。あの数秒の中で、あなたは究極の選択を迫られていた。けれどあなたの葛藤から目を背けるかのようにリクは、自らが消える選択をしてそれを実行した。私たちの説得にも耳を傾けずにね」
「……」
「リクの記憶がどんどん抜け落ちていく…それは、彼女と一番長く共にいたあなたにとって相当の"痛み"だったはずよ。記憶と共に、彼女に対する"想い"まで消えてしまうのだから、私たちとは比べ物にならい"痛み"だったはず。――自分の心が壊れてしまうほどにもね」


そこまで聞いて、ユーリはやっとジュディスの言いたいことを理解した。
つまり、ユーリは世界の仕組み…世界中から魔道器が消えたことによってリクを忘れてしまっていたわけではない。――彼が自ら、リクのことを思い出さないようにしているのだ。それは彼の意思とはまったく別のもので、脳が勝手に行っているものなのだろう。…彼の心が、壊れてしまわないように。
あの日、彼女を失った恐怖と葛藤はユーリにとっては極限状態に近しいものだった。彼女を失わないための方法がユーリには思い浮かばなかった。けれどリクを失うことは彼にとって死に等しいものであり、世界が終わることよりも回避したい事態だったのだ。けれど無情にも、リクはユーリの腕の中からするりと消えてしまった。ユーリの中の大半を占めていたリクが消えてしまったことで、彼の記憶と心…精神全てに大きな負荷がかかってしまったのだろう。


「…身体の防衛本能ってやつだろうね。リクちゃんのことを完全に頭から消し去ることで、全部なかったことにしようとしたわけだ」
「そうでなければ、ユーリも"死んでしまう"から…」
「はは…まだまだ繊細な部分も残ってたんだな、オレにも…」


ユーリのいつもとは違う苦笑いに、ジュディスたちは返す言葉が見つからなかった。自分が壊れてしまわないように、リクのことを思い出すことすらできなくなってしまったユーリ。
もし仮に、このままリクを取り戻せたとしても、彼女のことをユーリは思い出せないままかもしれない。そう思うと、ジュディスたちはユーリと共に先に進むことを躊躇してしまい、ユーリも記憶を思い出せない可能性があるというのに彼女を追いかけることを初めて迷い始めていた。
この半年間、記憶はなくとても彼女を見つけ出すという決意だけは揺らがなかったというのに。


「…ならば、ここで足を止めるか。ユーリ・ローウェル」


辺りに響いた低い声に、ユーリはハッと顔を上げた。
ザウデの様子を見に行っていたアレクセイが、ジュディスたちの後ろからまっすぐこちらを見つめている。
彼とこうして向き合うのは、ザウデでの戦い依頼だ。ユーリは声をかけてきたアレクセイをいつもの調子で睨み付ける。今まで黙っていたくせに、急に何を言い出すのかと。


「……あんたには関係ないだろ」
「関係はある。リクの説得にはどうしても君の力が必要だからだ。…いつだって彼女を動かすのは君だからな」
「あんたには言ってなかったか? あいつはオレの言葉にだって耳を傾けなかったんだぜ」
「それは当然だ。君だけでなく、誰の言葉でも揺るがないだろう。世界を救うそのときも決意は固いものだった。あの時も、君たちの説得は無意味だっただろう」
「…喧嘩売るなら後にしてくれねぇか」
「―――それは全て、彼女の想定内の出来事だったからだ」


遠回しなアレクセイの言葉に、ユーリの頭にも血が上りそうなときだった。冷静な彼の言葉に、聞いているだけだったジュディスたちも反応を示す。


「あの日のことが全て、彼女には想定していたことだ。君たちが真実を知ってしまうことも、それを止めようとすることも。…君たちの言葉で自分の決意が揺らしでしまうことも全て」
「…だからこそ、リタっちの力を借りずに星喰みを精霊化できるようにあんたが力を貸かしたんでしょうよ」
「彼女はその為に私を生かしたのだ。納得はできなくても、拒否する権利は私にはないだろう」


私が説得することも、彼女には想定内のことだったはず。そうアレクセイは続ける。彼女は誰よりも世界を憎んでいた。それと同時に、誰よりも世界を救いたいと思っていた。そう思ったのは、ユーリたちとの出会いがあったからこそだ。
リクは別世界の住人だ。その別世界でこの世界の出来事は物語となっており、ユーリたちはその物語の登場人物だったという。その事実があったとしても、リクはユーリたちをよく見ていた。よく理解していた。だからこそ、全てを想定していたのだから。


「あんたの言いたいことは分かったわ。このままリクを追いかけて顔を合わせても、二年前のあの時みたいになるって言いたいんでしょ? でも、どうしろっていうのよ。また記憶がなくなる可能性だってあるのよ」
「…恐らくリクはわたしたちが思い出したことをよく思っていません。世界の異変だと考えているだと思います。…そうなれば、リクがやろうとすることは…」
「世界を元通りにすること……また僕たちの中からリクに関する記憶がなくなる…ということですね」
「そんな! せっかく思い出せたのに!!」


このまま、リクを追いかけて出会えたとしても、自分たちの言葉は彼女には届かない。彼女はこの"異変"をなんとかしようとするだろう。二年前と同じように。
ユーリは思い出してた。数日前、リクをやっと見つけたあの時のことを。あの時のことは、さすがの彼女にも想定外のことだったのだろう。思えば、あの時は戸惑いながらも素直に自分を受け入れてくれていたような気がする。その後はまったく言葉が届かなかったのは、彼女がその"異変"に気付いたからなのだろう。――つまり、言葉が届かないわけじゃない。彼女の予測を裏切ればいい。…けれどどうやって?


「……方法ならある。あくまで可能性の段階で…とても、推薦したくない方法だがな」


こうして足を止めている時間すら惜しい。
そうアレクセイは先ほどまでザウデを眺め、発案した内容を語った。
リクを覚えておくために、何が必要なのかを。…その方法がどれほどのものなのかを。
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