クロム×マイユニ
※義務教育を終えていない方に相応しくない描写が多少あります。ご閲覧には十分注意して下さい。
目が覚めたのは時計の針が昼に差し掛かっている頃だった
カーテン越しに漏れる黄色い光がさらし出された素肌を照らす
…嗚呼、そうでした
昨日は夜更かしをしたんでしたね
私を抱き締めるようにして未だ隣で眠るこの人と
「クロムさん、起きて下さい」
その後もクロムさんクロムさんと2、3回呼んでみる
それでも返事は無かった
…まぁ、あれだけ激しく動けば疲れもするでしょう
少し強引になってしまう癖のある彼に痛め付けられた腰はまだ少しだけ重い
今日が休暇日であることが幸いだった
でも軍師としての仕事はまだ片付いていない
「クロムさんの鬼…馬鹿…もっと手加減して下さい」
未だ眠っている相手に毒を吐き、本当の意味で重い腰を上げる
身体に巻きつく彼の腕を払い立ち上がった
そして床に落ちていた上着を拾い身に付けかけた
その時だった
「行くな」
「っ、?!」
ぐいと引っ張られた腕
私の身体はよろけた勢いで再びベッドの中へ引き戻される
彼の影に収まる身体
さっきまで心地好く眩しかった日差しは跨る彼の身体によって遮られた
真っ直ぐ見下ろす目は少し怒っているようにも見える
というより近い
近いですクロムさん
「お…起きてたんですか」
「あぁ。マイユニが起きる少し前からな」
じゃあどうして私が揺すった時素直に起きてくれなかったのでしょう
というより、さっきから近いんです
何も身につけていないクロムさんの上半身が、ばっちり視界に入っちゃってるんです
「あの…どいていただけますか?」
「あ、」
何かに気付いた様に開いた彼の口
…無視ですか
「ここ…」
クロムさんがなぞったのは私の首筋
「すまん。跡がついてしまった」
その言葉に脳裏を過ったのは昨晩の行為
頬がかぁっと熱くなるのを感じた
「…べ、別に構いませんよ」
それよりも、早くどいて欲しいのですが
「すみません…どいてくれませんか」
がっしりとした男の人の胸板を押し返す
普段の彼ならここで素直に折れてくれる
だけど、今日はそう簡単にはいかなかった
「断る」
断固として動かない身体
てっきりこれで済む話だと思っていたから反応が追いつかなかった
「え…、え?」
予想外の言葉に動揺が隠せない
彼の目は覚悟を決めていたようにはっきりと私を捕らえていた
「まだ眠ってろ」
半ば強制的にベッドに押し付けられた身体
「え…、でもまだ仕事が残っていて…それに私今日は食事当番ですし」
「行かなくて良い」
私の言葉を遮った彼の声はやはり前もって決めていたかのように力強い口調だった
「…皆さんお腹すいてしまいますよ」
「心配するな、この近くには町がある。食事処もあるだろう」
口論ですら勝てない
今日のクロムさんはなかなか強情だ
というより少し面倒臭い
力ずくで抜け出そうとクロムさんの体を押し返した
その時、彼の手が私の上着に掛かった
「ちょ、ちょっと何するんですか?!」
私の服を脱がし始めたクロムさんの手
少し乱暴に捲られていく
「やっやめて下さい!」
「うるさい!断る!」
私の頬は見るまでもなく赤い筈
だけど彼もまた、この上なく真っ赤だった
…恥ずかしいならやめて欲しいのですが
「…あぁ、もう…」
振り出しに戻った状況
結局力負けしたのは私だった
「クロムさーん…服、返して下さいよー…」
「断る!」
やっぱり今日の彼は強情だ
強情なくせに、ぴったりとくっついた肌からはいつもより早い鼓動が聞こえる
投げ捨てられた上着はさっきよりも遠い場所に広がっていた
…もうここからじゃ届きませんね
だからと言って裸で出歩く訳にもいかないですし
…仕方ないですね
「…私の負けです、クロムさん」
今日はもう少しこのまま…このまま、抱き締めてもらう温もりに甘えようと思います
すみません皆さん
今日のご飯は、外で食べて来て下さい
頑張り過ぎるマイユニをどうしても休ませたかったクロムさん
「…そういえばさっき」
「?」
「俺の陰口を言っていたな。鬼だとか馬鹿だとか」
「…え、」
「時間はまだある…、覚悟しろ」