クロム×マイユニ

幸せな未来予想図

11章以前


「あ、クロムさん。こんな夜遅くにどうしたんですか?」

「マイユニこそ、こんな原っぱで何をしていた」

「いえ、ただ眠れなくて…。それに星が、沢山出ていたので」

「この国は空が澄んでいる事で有名だからな」

「一度にこんな沢山見たのは初めてかもしれません…」

「そうか。だが、イーリスも負けてはいないぞ」

「確かに、クロムさんと初めて出会ったあの場所も見晴らしが良さそうですね」

「今度連れて行ってやる」

「本当ですか?それは楽しみですね」

「代わりに、必ず生きて帰るぞ」

「ふふ、そうですね。…もしこの戦争を生きて終えたら、クロムさんはどうされるんですか?」

「もし、じゃない。必ずだ」

「あ…はい、そうでしたね」

「まずは国境沿いの荒れた地方の復興に献身する。外交は主にマイユニに任せる」

「私に拒否権は無いんですか」

「当たり前だ。イーリスに帰ったらお前を妻として迎え入れるつもりだからな」

「うーん。なんだかぴんと来ない話ですね、私が王妃だなんて…」

「まぁ…俺も実感はまだ無い」

「お互い様ですね」

「そう言うマイユニこそ、この戦いを終えたら何をしたいんだ」

「そうですね…まずはクロムさんと同じ意見です。クロムさんに相応しい女性として、一緒にイーリスへ戻ります」

「…城には手配してある。マイユニの部屋も用意しておいた、好きに使ってくれ」

「あ。では、厨房もお借りできますか?クロムさんに私の手料理、食べてもらいたいんです」

「構わんが…上手いのか?」

「クリスさんの手製菓子よりは美味しいと思います」

「道端で拾った鉄の味のするあの物体か…」

「それと、クロムさんと旅行がしたいです」

「今している真っ最中だろ」

「こういうのじゃありません!もう、これだからクロムさんは女心が分かって無いんです!」

「む。す、すまん」

「…お詫びとして、今度イーリスの町並みを案内して下さい」

「子連れが多いぞ、あの通りは」

「子連れ、ですか」

「…」

「…」

「…俺達も、子供がいた方が良いかもしれんな」

「え…えええクロムさんなんて事を!」

「う、うるさい!」

「…心の準備をさせて下さい…」

「む…」

「…」

「…」

「…」

「…マイユニ、聞いてくれ」

「?」

「城へ帰ったら…挙式しよう。お前に、渡したい物があるんだ」

「クロムさん…」

「そ…そんな顔をするな!こっちまで照れるだろうっ」

「すっすみません。でも嬉しくて…」

「そ、そうか…」

「あら…雲が出て来ましたね」

「そろそろ天幕へ戻るか」

「そうですね。…あ、外交はもっとしっかりしてもらわなきゃ困りますよ」

「…出来る限り善処する」

「本当ですか?」

「外交だけでは無い、全て実現する。…必ず」

「ふふ…約束ですよ」

「あぁ」


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