クロム×マイユニ
※クロム微妙に病んでます
※若干グロ描写があります
雪がしんしんと降り積もる白銀の世界
その静寂を突き破るように、私達は激しい交戦を繰り広げていた
目と鼻の先で振り上げられた斧の刃先
ーーーーしまった
ぎゅっと目を瞑り受け身の体勢を取る
「…っ」
でも痛みは無かった
恐る恐る瞳を開ける
見えたのはよく見知った後ろ姿
「クロムさん…!」
それは、私の最愛の人だった
「ぐあっーーー!」
ファルシオンに貫かれ、全身から血を吹き地に倒れた敵兵
その赤が大地の白に広がり滲んでゆく
クロムさんにも真っ赤な飛沫が付着していた
庇ってくれたお礼を言おうと口端が緩んだ
その時だった
「…クロムさん?」
彼の姿に、喉元で言葉が詰まった
「…何、して…」
既に瀕死の状態の敵に跨る
そして剣の切っ先を差し込んだ
「ぐ、げ」
びちゃり、と辺りに飛び散った血の塊
一面の白い背景が余計にその色を鮮明に映し出した
抉る度クロムさんの装束にも赤が増える
「…、…」
とうとう声を立てずにびくんびくんと脊髄反射するだけになった敵の体
唖然と立ち尽くしていた自分にハッとする
「ク…クロムさん、クロムさん!」
駆け寄って肩を揺すっても返事は無い
まるで世界の全ての声が聞こえていないみたいに
「クロムさんっ、もう、もうやめて下さい!その人は死んでます…!」
誰に見られているとか、あまり考えなかった
必死に彼の腰に抱き付きやめてと哀願する
すると漸く彼の動きは止まった
こちらを振り向いた彼と視線が交わる
灰色の空から静かに舞い落ちる雪が頬に触れて冷たい
返り血塗れの、なんてことない普段の穏やかな顔
「…無事で、良かった」
そう微笑みかける彼を、初めて“怖い”と思った