クロム×マイユニ
マイユニが泣いていた
誰にも気付かれないよう声を押し殺して
そっと抱擁すれば少し驚いたように顔を見上げる
そして俺だと分かると気を許したかのように再び泣き崩れた
素直に泣き付く自分の妻が愛しくて、不謹慎ながら笑みが零れる
その震える肩を抱き寄せた
マイユニの嗚咽が聞こえる度遣り切れない思いが込み上げてくる
マイユニをこんな風にした相手が腹立たしい
憎い
まるで自分の事のように悲しみに近い怒りが沸々と心を蝕んだ
だがそれは心配というより
妬み
何かがマイユニを傷付けた
だからマイユニはそれを気にする
その一点がマイユニの意識を独占する
それが妬ましかった
「マイユニ…もう泣くな」
結果的に慰めるという形になるが、根本は「マイユニから離れろ」という警告
その涙は俺のものだ
マイユニの心を掻き乱すのも、満たすのも、悩ませるのも俺だけで良い
俺だけがマイユニを理解していれば良い
必ず幸せにする
「俺」と「幸せ」で満たしてやる
その2つだけで十分生きていけるよう、生涯ずっと側で支えてやる
だから
「もう…泣くな」
マイユニの泣き声が静かに響く中、独占欲に小さく自嘲した
共依存<キョウイゾン>