※豪円前提な虎→豪



「ナイスシュートだっ、豪炎寺!」
「ああ!」

キャプテンが片手にボールを持ち、汗を拭いながら豪炎寺さんを褒める。
俺はそんな光景をただ遠くから見つめるだけ。
豪炎寺さんは褒められて、凄く満足げな表情を浮かべている。その表情は、キャプテンにしか生み出すことが出来ないものだ。
悔しい、そんな想いが俺の心の中を支配していくのが分かった。
するとキャプテンがこちらを向き、いつものように白い歯を見せると太陽のような笑顔をして言った。

「虎丸もナイスアシストだったぞ!」

眩しすぎるその笑顔を俺は直視することが出来ず、俯きながら「はい…」と空返事をし踵を返した。
背後から聞こえる俺のことを気遣う言葉も、今の俺にとっては刺でしかなかった。すべてが俺の心に刺さっていく。
そんな時、先日の出来事が頭の中をよぎった。

『豪炎寺さん、ずっとあなたのことが好きでした』
『…悪いな。俺は円堂が好きなんだ』
『それでもっ…それでもいいんです! 俺は豪炎寺さんと一緒にいれれば、それでいいんですよっ』
『なっ……やめろ! 虎丸っ!』

その時は無理矢理でもよかった。憧れの人と一つになりたい、単純にただそれだけの衝動が俺をつき動かしていた。
今思えば、それが始まりと終わりだった。
豪炎寺さんとはそれ以来、一言も言葉を交わしていない。それ所か、視線すら合わせてもらえない。
ちらりと振り返れば、俺のことなどすっかり忘れたかのように、楽しそうに話す2人が目に映る。
…きっと、出会うのが遅すぎたんだ。だって俺は、キャプテンよりもずっと昔から豪炎寺さんの存在を知っていた。憧れていた。
もっと早く、キャプテンよりも早く出会っていれば、きっとあの笑顔は俺のものになっていたに違いない。

俺の中の一番星、豪炎寺さん。
その輝きはすっかり俺の心の闇に飲み込まれ、完全に消えてなくなった。豪炎寺さんはもちろん、キャプテンにも悪いことをしてしまった。
もし、俺がいい子に戻れたら……その時はまた、光り輝いてくれますか?豪炎寺さん。


悪いことをしたら星が消えた





素敵企画サイト様の、虎嘯風生様に恐れ多くも提出させていただきましたっ!
暗めになってしまい申し訳ないです。お題がお題だったので、ゆんの頭の中ではこんなのしか浮かんできませんでした。
普段自分の考える虎豪はもっと明るいので、暗めに考えるのも案外楽しめました^^!
それでは、参加させていただき本当にありがとうございました!


10/03/29*竜うみ



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