気がつくとそれを目で追っていることに、最近気づいた。

指先

例えば、コーヒーカップを持つそれとか、携帯を弄っているそれとか、文字を書くときとかサングラスをあげるときとか。
白くて長くて綺麗なそれに全神経が集中している。
見れば見るほど綺麗で。この人に綺麗じゃないトコロなんてあるのか、とか思ったりする。
髪の一本一本から爪の先まで、余すところなく綺麗。
その中でも俺は特に指先が気に入ってる。
でもその持ち主は、自分のそれをあまり気に入ってないみたいだ。

洗っても洗っても自分のそれはアカイままだから。
だから嫌いなんだ。

そう言っていたのはいつだったか。

この人は、物思いにふけっていると綺麗すぎて人形みたいだってのにも最近気づいた。
特に夜。
陶磁器みたいな肌ってこのことを言うんだなって。

ああ、人形のようなこの人は本当に綺麗だけど。
俺はそれが嫌なんだ。
時々、触っただけで壊れそうで。

「蛮ちゃーん!」

壊れそうなときには、俺は一先ず抱きつくことにしてる。
反動でぐらついたりはするけど、強く抱きしめても音をたてて崩れるなんてしない。

陶磁器の肌は温かくて。
この人は人形なんかじゃなくてちゃんと生きてるんだってわかるから。
だから抱きしめるよ。
ずっと、ずっと。

ああ貴方、綺麗な貴方。
汚れているなんて言わないで。
だって貴方はこんなにもキレイ。

貴方の指先がアカイままでも、俺は貴方を愛すよ。

だから汚れているなんて言わないで。

珍しく銀蛮。そして蛮ちゃんは一言も喋っていない。(おぃ)いつものように意味不明。
あ、この天野氏はちょっと黒い天野氏です。


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