気付けば後戻りできないほど蝕まれていた

胡 蝶

廃墟と呼ぶには躊躇うが、人の手から離れて久しいであろう部屋に男はいた。
壊れた窓から差し込む月明かりで辛うじて一歩先が見えるが、やはり暗い。
コツコツと男の発する規則的な響きが夜闇に吸い込まれる。
しばらくしてそれも止み、静寂だけがそこにあった。

窓際にひっそりとベッドが佇む。
男は一呼吸おき、明らかに新品であるシーツに広がった鳶色を指に絡めた。意外にも指通りの良いそれは、さらさらとこぼれていく。
鳶色の持ち主は未だ堅く目を閉じたままだ。
髪から頬へ首へと手を滑らせる。
慈しむように唇を一撫でし、己のそれを近づけた。
近づけ、しかし寸でのところで止める。
小さく呻き、白に横たわった男が大儀そうに目を開けた。

「気分はどうだ、フレデリック?
…あぁ今はソルと名乗っているんだったな」
男―ソル―の心中を簡単にまとめれば、何故自分はここにいるのか、何故この男が目の前にいるのか、そもそもここは何処なのか、であろうか。
暫しの間困惑した顔で眼前の男を見つめていたが結論に辿り着いたのか、それだけで人を殺せるほどに鋭く睨んだ。
「テメェ何しやがった…!」
地べたを這うような低い声が辺りに響く。
常なら切りかかっているところも、手元に封炎剣が無いことと身体が思うように動かないことにより押し止められる。
「一服盛らせてもらったよ。
こうでもしないと落ち着いて話もできないだろう?」
「話すことなんぞねぇ!」
「君には無くても…」
力の入っていない左手取り、そっと、口付ける。
「私には…あるんだよ、フレデリック」
「っ…!その名前で呼ぶなっ!」
もう一度口付け、男はベッドに乗り上げた。二人分の重みに限界を訴えるようにベッドがギシリと呻いた。


「…ん…っふぅ…ゃぁ、はっ…」
「フフ…辛いかい?」
「…んなわけ…ある、か…んぁ!」
「強情だな」
自由の利かない身体は為すがままだった。
本人の意志とは関係無しに、男を受け入れ、奥へと誘う。
感覚だけがやけに鋭く、何度も思考が白く染まった。
焼き切れそうな理性を必死に繋ぎ合わせ、響き渡る淫靡な水音も、己の口から洩れるこの声も、男の息遣いも、音という音全てを遮断しようと試みるも、断続的に与えられる刺激により失敗に終わる。
強く揺さぶられても何の抵抗もできず、ただ抑えていたはずの喘ぎ声があがるだけだった。
理性が、否、全てが、男に侵食されていく。
男は虚ろになった瞳に満足げに微笑み、ソルを己の膝上へと抱き上げた。
ソル自身の体重によって繋がりは更に深くなり、嬌声が一層高くなった。

「君は最近、随分と楽しそうだ」
耳元で囁けば、身体はピクリと反応する。
「ここの人間が、君がギアだと知ってなお普通に接するから…かな?」
言ったところで今のソルには理解出来まい。しかしそれでも、記憶の奥底へ残るように、と言葉を続ける。
「…どうやっても君は完全に私のモノにならないな…。
だがこれがある限り、君は私から逃れられない。
そうだろう?フレデリック」
鉢金を外され露わになった額に刻まれた証。
もはやこれが男とソルを繋ぐ全てだった。
額の証に口付け、そのまま下降し唇を奪う。
強引に舌を差し入れ口内を蹂躙した。奥へ引っ込んでいたソルの舌を絡めとる。

このままキスで死んでしまえばいいと思った。
自分に犯されたまま死んでしまえばいいと思った。
その瞳に最期に映つるものが自分であることに、こんなにも喜びを感じる。

「…でも君にはまだやってもらうことがあるからね」
だからまだ…。

「…ヒぁッ…はっ‥もぅ…ぁあーーーッ!」
「くっ…フレデリック…!」
ソルが白濁をまき散らしたすぐ後に男もまたソルの中へ注ぎ込んだ。

空はまだ暗い。
だからまだこれは終わらない。

薬はとうにきれているのにも関わらず、相変わらず為すがままのソルに気を良くし再び掻き抱いた。

額の証と同じように、この身体に刻みつけるために。

「私だけを見ていれば良かったんだよ、フレデリック。そうすれば…」
そうすれば、何だというのか。

答えは闇の中。

だぁぁぁあああ!!!!何これ!?なんか支離滅裂ですみませんってか意味不明ですみませんってかまたタイトルと合ってないってか全てにおいてすみません。あの男とか捏造しまくりです。やっちまったぜ!
つーかもう恥ずかしい!!ホント恥ずかしい!!!エロってなんですか?これはなんですか?誰か素敵なエロを書ける文才をください。



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