カラン、と音がしてホンキートンクの扉が開いた。
コーヒーを飲んでいた赤屍が肩越しに振り返ると、そこには。
「おや、奇遇ですね美堂君。
・・・・どうかなさいましたか?」
何故か呆然とこちらを見ている蛮がいた。
「・・・・お・・お前何でこんなとこに居るんだよ・・・・?」
「・・・何故、とは?」
意味が分からず聞き返すと、苛立ちの色を濃くしながら蛮が近づいてきた。
「だからっっっ!!!人が探してっ時に全然居ねぇくせに、諦めて戻ってきたとこでのうのうとコーヒー飲んでるってのは何なんだよ!!?」
「あぁ、それは申し訳ありませんでした・・・・。美堂君が私を探してくれるなど、一体どの様なご用です?」
それを聞き、蛮はため息を吐いてカウンターに突っ伏した。
「・・・まぁそんなこったろうと思ったけどな・・・。今日が何の日だか知ってるか?」
記憶を探すが、出てこない。蛮の様子からすると自分に関係のある日のようだが。
「・・・何の日、ですか・・・?」
蒼く美しい瞳に諦めの色を浮かべ、彼は半ばやけくそのようにさけんだ。
「てめぇの誕生日だよ!!! わざわざ俺が買ってきてやったんだ、有り難く受け取りやがれ!!!」
突き出された小箱を反射的に受けとってから、今度は赤屍が呆然とする。
「・・・・そう言われてみれば、そうですね・・・・。何故、美堂君がご存じに?」
「前にてめぇがむりやり手帳に書いたんだろうが・・・」
促されるままに小箱を開ける。でてきたのは、 ・・・深紅の球のついた、ピアス。
「これは・・・・・とても、良い品ですね・・・。これを渡すために私を捜してくれたというわけですね?ふふ、本当に可愛らしい方だ」
「うっ、うるせぇな!」
笑うときに帽子のつばを下げたのが、嬉しくて顔が熱くなったのを隠すためだなんて、絶対に秘密だ。
「・・・プレゼントなんざアクセサリーぐらいしか思いつかねぇけど、首とか腕は邪魔になるからピアスなら一番良いと思っ・・・のあぁ?!」
「私のためにわざわざ有り難う御座います・・・。こんなに嬉しい誕生日は初めてですよ」
抱きすくめられて耳元で囁かれ、蛮は思わず赤面した。
「おや、今日は抵抗しないのですね」
「・・・誕生日だから、特別だ・・・! HappyBirthday、赤屍」
今はまだ、敵未満で味方未満。・・・・だけど、いつかは。
終
{無駄なおまけ}
「まったく、朝早くから夕方まで人捜ししてるっていうから仕事かと思ったのに、こういう事だったとはなぁ・・・。」
コーヒーを煎れに行ったまま戻るタイミングを失い、ずっと奥で聞いていた波児は苦笑した。
「いやぁ、若いって良いねぇ」
終
零綺様から頂きました屍蛮です。デレ蛮ちゃん可愛い!
ありがとうございましたー!
ありがとうございましたー!