◆承太郎、旅の途中



「あっづい……」
「あちー」
「溶ける」
「あまりそう口にすると余計に暑く感じるぞ」
「砂漠なんだからしょうがないだろ」
「それに地元民のアヴドゥルは慣れっこだからそう言えるだけじゃないのー?」
「……あ、承太郎待って」
「どうした」
「足元悪いからなかなかうまく歩けなくて」
「ゆっくりついて来い。後ろにはアヴドゥルがいるしな」
「ううん、承太郎のそばがいい」
「!?」
「頑張って歩く」
「……合わせてやらねーこともねーよ」


「ふーっ、夜になると急に冷えますね」
「砂漠の寒暖差は激しい。体調を崩さないようにな」
「あれ。承太郎は?」
「レディのお花摘みの護衛だとよ」

「お待たせ」
「いや……ほら、隣」
「ああ。もう大丈夫」
「?」
「もう太陽は沈んだからね。大きな日陰はいらないかなって」
「なっ……」
「それよりたき火の隣だよー。はー、さむさむっ。早く戻ろう」
「………………」
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -