◆承太郎、おにぎりが好き


「……」
「承太郎何してんの」
「見りゃ分かるだろ。料理だ」
「え。見たままで答えるなら炊き立てご飯を使った握力トレーニングなんだけど」
「どうやったら米で握力が鍛えられんだよ」
「だって米を親友の敵みたいな感じで握りつぶしてるから」
「おにぎりだよ」
「……」
「どうせ形がひどすぎると言いてぇんだろ」
「違う。承太郎の口からおにぎりという単語が出たことに少々面食らった」
「おにぎりくらい言うぜ」
「二回も言わないで」
「おむすび」
「やめて」
「握り飯」
「あ、それならなんかこう、いい。いい感じ」
「意味分かんねぇ」
「それより何で握ってんの?」
「日本を離れて随分経つからな。和食が恋しくなって」
「それで朝に出た米をそれっぽく加工してるわけか」
「ああ」
「承太郎……日本の粘り気のある米じゃないと無理じゃない?」
「それは俺も思っていたところだ」
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