◆クルセイダース、チョコを期待する


「ジョースターさん、いつもお世話になっております」
「ん。これはチョコレートか?日本でそういう風習があるのは娘から聞いたことがあるな」
「はい、お歳暮です」
「いや、それは年末に渡すあれじゃろ!照れんでもええぞ、素直にバレンタインって言ってもええぞ!」
「旧正月です」
「えー……何か色々まじってて全然違うことになっとるぞ……うわ本当にチョコじゃない、ビールだこれ」
「お歳暮ですから」

「イギーちゃんにとってチョコは猛毒だからね。いつものだけどコーヒーガム」
「クチャクチャクチャクチャクチャクチャクチャクチャ……」
「いつものだけど食べたね?来月にはホワイトデーっていうお返しの日があるんだよ。お返し期待してるね」
「クチャクチャ……ガゥ」
「ふふふ。お腹もふもふでいいよ」
「あぎ……」
「噛んだガムとか返されても困るよ。それじゃあ一ヶ月楽しみにしてるね」
(何かよーわからんが怖い。逃げよう)

「ポルナレフー」
「おう、どうした」
「フランスのバレンタインってさ」
「おう!」
「恋人達のお祭なんだよね?」
「ああ!」
「チョコだの女性からのプレゼントだのは違うんだよね?」
「まあな!」
「うん、オッケー。じゃあね」
「ちょーい待て!待ちなさい!」
「ん?」
「何でそれを今日聞いた」
「いや、別に」
「俺に今日渡すものは!?」
「ない」

「もぐもぐもぐ……」
「あ、何食べてるの?がっつくようだが、僕は小腹が減ってるんだ。一つくれないか?」
「ん、チョコ」
「ああ……ん?」
「花京院、がっついてると自覚しながらもチョコを今日強請るのかい?」
「や、大した意味はないんだ。本当に、お腹がすいたから一つもらおうと思って」
「うん。これ、チョコレートなんだ。僕にチョコレートを下さいってお願いできたらあげるよ」
「つまり、僕に告白して欲しいと言わせたいんだね?」
「ううん。戦後の日本の子供ごっこしたいだけ。しないならいいよ。じゃあ」
「あっ、ちょっ……」

「あ、アヴさんチョコ食べてる。うらやまー」
「一ついるか?」
「はいー」
「どうぞ」
「どうも。あ、こっちの丸っこいのにしていい?」
「ああ、構わないよ」
「はい、じゃあこれあげます」
「あげるというか……返すと言ったほうがいいんじゃないか?」
「いえ。今日女性からチョコを受け取った人は一ヵ月後にその女性に貢物をしなくてはいけないという日なんですよ」
「ハハハ。それじゃあ一月後に素晴らしい贈り物を用意しよう。まずは好きなチョコを一つ選びなさい」
(アヴさんはからかうのが難しいなぁ……)

「……」
「……」
「……」
「……」
「……」
「……」
「おい」
「はい」
「……いや、なんでも」
「私の手にあるものが気になる?」
「いや」
「素直じゃないなぁ」
「……誰にやるんだ、それ」
「欲しい?」
「いらん。お前が誰に渡したいのかが気になる」
「自分用でしたー」
「ならいい」
(意地でもくれって言わないな、コイツぁ……)


※結局一つもチョコをあげてない
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