◆六太郎、元妻への未練を断ち切る

「徐倫。今日来てた友達、何と言う名前なんだ」
「どしたの急に」
「いや、娘の交友関係を全く知らないのもどうかと思って」
「今更じゃない?」
「そんなことはない。DIOの配下連中はあの神父が最後のはずだ。世界中に散らばってはいるかもしれんが、もうわたしたちを襲ってくることはない」
「だから家族仲良くって?」
「いや……母さんには合わせる顔がない」
「母さんの近況は色々聞かないけど私の友達の名前は気になるの」
「母さんのことだって気にはしてる。だがそれ以上にお前のことを知らなさ過ぎる」
「まぁね、私はね、今でこそ仕事の関係で父さん家に居候してる身だけどさ」
「居候と言うな」
「はいはい。まぁ、もう少しお金が溜まったら、母さんと暮らせる広い部屋に引っ越そうと思ってるわけよ。そしたら父さんが一人で寂しいってんならさ」
「寂しいわけではない」
「はいはい。とにかく、母さんには私がいるし、新しい恋人もできそうだし、父さんだって新しい人と幸せになってもいいと思うけどね」
「待て。母さんの新しい恋人ってのは誰だ」
「でもさすがに娘と同年代の女性ってどうよ」
「おい、別にわたしはあの友人をそういう目で見ているわけじゃあない」
「母さんの恋人が気になるくせに自分も恋人作ろうってのはムシがよすぎると思うわ」
「……母さんの恋人というのはわたしの反応を見るためのウソだな。お前の性格上、母さんに恋人が出来たのなら“自分と一緒に住める部屋”なんて探さないはずだ」
「あら、もうバレちゃった。でも父さんがそこまで未練タラタラってわけじゃないのはよく分かったわ。また今度つれてくるから、まぁ後は自分で頑張んなさいよね」
「やれやれ」


目次

- ナノ -