◆DIO様ヴァンピレスを欲しがる

「この傷はどうした」
「あぁ、四日ほど前に転んだだけです」
「四日も前の傷がまだ残っているのか」
「まだ四日しか経ってないですし」
「ふむ……飲め」
 鋭利な爪で自分の指を傷つける。真紅の血を垂れ流すその指を女の口にあてがった。
「は?ちょ、やめ……」
「血を飲め。お前には『与えて』やる」
「イヤですよ。他人の体液口から摂取するとか」
「随分失礼な言い方だな」
「実際体液は不衛生ですし」
「前々から思っていたがお前、本当に私に忠誠を誓っているのか?」
「誓ってる誓ってる、めっちゃ誓ってる」
「ほう、ならば私の傷を案じて治癒に務めてくれるよな?」
「はぁ、ご自分でやった方が早いんじゃないっすか」
「舐めろ」
「話戻ったわ」
「舐めろ。そして血族となれ。お前に傷跡が残っていることが許せないのだ」
 再度唇に指を押し当て、歯を押しのけて中へと進んでいく。舌先にその血が触れた瞬間、それが身体に何か変化をもたらしたのだと直感した。
「舐れよ、もっと、丹念に」
「あにょ、DIOはま、もうふちゅうに飲むんれ……これやめてくらはい」
「いや、面白いからもう少し奉仕しろ」
 吸血鬼へと変貌する瞬間というのは、マンガやゲームならばもっとドラマティックな展開の元に待ち受けている運命であろうが、彼女にとっては日常のくだらない一ページを消費しての出来事となった。


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