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第13幕10ページ(四月馬鹿ver)



※これは2011年の4月1日に管理人が嘘として、一日限定で本編に更新した嘘の13幕10ページ目です。エイプリルフールの冗談なので、本編とは一切関係はありません。





「ねぇ、もう一度聞いて良い? ローラントって本当に騎士?」

 先程から度々出てくる騎士とは思えない言動に、またもやそんな言葉が彼女の口をついていた。
 言葉を交わす内に、徐々に彼に対するロゼッタの警戒心は薄れていた。しかも徐々に彼に慣れているという現実まであった。ロゼッタは元々人見知りする性質ではないが、こういう状況でここまで喋るのも不思議なことだった。
 彼女も不思議な事に、彼に対しては危機感を抱くことは無かったのだ。

「……一応、騎士だな」

 しかもローラントはロゼッタの言動に怒る様なことは決してなかった。度々彼女は怒らせてしまう様なことを言いがちだったが、さらりと彼は流している。
 すると、じっとローラントはロゼッタを見据えた。その雰囲気は怒っているというより、むしろ優しい眼差しを向けられている気がするのだ。
 ロゼッタは不思議そうに彼を見返した。

「どうしたの……?」

「何と言うか、君は変わっていて面白いと思う。それに今まで見た女性の中では一番綺麗だな、と」

「え? え?」

 いきなり訳の分からないことを言い出したローラントに、彼女は戸惑いを隠せないようだった。褒められているというのは分かるが、自分よりも綺麗な女性は沢山いるし、それに彼は一応敵対関係の人間。素直に喜んでいいものか。
 だが、そんなロゼッタの心情など知らないローラントは、僅かに照れながら言うのだった。

「……もし君が人間の国にいたいと思うのならば、どうだろうか? 私の妻として、この国に留まるというのは?」

 ロゼッタの思考が停止した。
 突然のことにローラントの頭がイカれたのか、変な物を食べたのか、それともただの悪い冗談なのか。どれにしても質が悪いのには変わりないだろう。

「い、いきなり何? 冗談よね……?」

「冗談ではない。私は本気で言っている。君が魔族だろうと私は気にしない」

(え? ほ、本当の本当に本気で言ってるの……?!)

 こんなに真摯に求婚されたことなど、今まで彼女の人生にはなかった。
 灰色の真剣な双眸に見つめられ、ロゼッタは顔を赤らめた。こうして見るとローラントも結構顔が整っている分類だろう。無表情で分かり辛そうだが、彼が優しい人だということは知っている。
 つい、彼となら良い家庭が築けるのかも、と思ってしまった。

(いやいやいやいやいや、流されちゃ駄目!流されちゃ駄目よ!)

 頭を左右に振り、ロゼッタはしてはいけない想像を掻き消す。いくら相手が優しく誠実そうなローラントでも立場と言うものがある。
 それに知り合って間もない彼といくらなんでも、すぐに結婚という展開は可笑し過ぎる。

「と、とにかく! 無理よ!」

「……うむ、ロゼッタ様の言う通り」

「え?」

 三人目の人物の声に、ロゼッタは目を見開いた。この室内にはロゼッタとローラントの二人しかいなかったはず。
 誰、と二人が室内を見渡すが人影はない。姿なき声だけ二人の耳に届いている状態である。

「そこか……!」

 おもむろに剣を抜き、ローラントは床に思いっきり突き刺した。険しい表情で見つめ、数秒後ローラントは突き刺した剣を抜いた。床には無残に穴がくっきりと開いていた。

「出てこい」

 冷たいローラントの一言で、剣を突き刺した部分の床がガコッと外れた。

「アル……!」

 床に突如空いた穴から出てきたのは、離れ離れになった従者のアルブレヒト。更に宮廷魔術師のノアも穴から這い出てきた。
 ローラントは鋭い眼光で二人を見ていた。それもそうだ、こう易々と二人の侵入を許してしまったのだから。
 どうやって床下に、しかもここは城の上部であることを何故誰も突っ込まないのだろうか、とロゼッタは思った。

「また君か……」 

 アルブレヒトとは一度だけ対峙したことがあるローラント。どうやら覚えていたようだ。

「ロゼッタ様は陛下の後継者。渡さない」

 アルブレヒトもまた腰の双剣を鞘から抜いて構える。それに、と彼は言葉を続けた。

「……それに、ロゼッタ様は自分にとっても大切な方。渡せない」

 アルブレヒトにとっては精一杯の表現の仕方なのだろう。顔を真っ赤にして、それでもローラントと向き合っていた。

「……そうだね。僕も、姫様は大切な大切な興味深い実験材料だから渡す気はないかな」

 ノアもまた杖を構え、アルブレヒトの援護体勢となる。三人は睨み合ったまま、一触即発の状態であった。
 ロゼッタだけは展開についていけず、その場で固まったまま三人を見ていた。

「ちょっと待った……!」

 すると、またしても此処に居る人物以外の声が聞こえた。ロゼッタでもローラントでもアルブレヒトでもノアでもない。
 ここまで来るとロゼッタは嫌な予感しかしなかった。
 何なの、何処から声がしたの、とロゼッタが一人キョロキョロしていると室内に響いたのは爆発音。そう、まるで部屋の扉が破壊される様な……

「リーンハルト……! それにリカード、シリルさんも?!」

 鋭利に砕け散った鍵付きの部屋の扉。元々扉があった所では砂煙が立ち上り、扉の代わりに彼らが立っていた。

「た、助けに」

「そういうのはロゼッタお嬢さんが決めることでしょ。剣で奪うんじゃなくて、ロゼッタお嬢さんの意思も尊重してこそだよね」

 助けに来てくれたのね、とロゼッタは喜んで言おうとしたところ、リーンハルトの言葉に遮られた。ここに何しに来た、と言いたげなロゼッタの視線など丸無視である。
 いつもならばここでリカードやシリルが暴走列車と化したリーンハルトを止めるだろうが、今日は止める気配が無い。

「ほら、男なら言葉で心を奪うことくらいしなきゃ」

「は?」

 またしてもついていけないロゼッタは口をぽかんと開けている。
 しかし、何故かロゼッタ以外の面々は納得した様で「そうだな」と言っていた。

「いやいやいやいや、どこに納得する部分があるの?! おかしいでしょそれ?!」

 座っていたベッドから立ち上がり、叫ぶロゼッタ。しかし彼らは彼女の話を聞いちゃいなかった。

「ロゼッタ様、自分にとってロゼッタ様大切。渡すのは嫌」
「ちょっとアル?!」

「僕はずっと大切にしてあげるよ、実験材料として。大丈夫ご飯もあげるし、責任持って世話するよ?」
「それ何か違うでしょノア!」

「例え君が魔族でも私は気にしない。妻として迎え入れたい」
「だから!一体どうしたのよローラント!」

「アルセルにお前をくれてやる気はない。いいから戻るぞ」
「ある意味リカードの言葉は正しいかもしれないけど……リカードがそんな事を言う筈が無い!」

「その、ロゼッタ様……が、頑張って幸せにします」
「シリルさんも本当にどうしちゃったの?!」

「ロゼッタお嬢さん、俺と素敵な家庭を築こうか。子供は好きじゃないけど、子作りは大好きだから!」
「あんたは通常運転だけど、一回黙りなさい!」

 はぁはぁ、とロゼッタは肩で息をした。ここまで一気に叫んだんのも初めてだろう。
 さぁ誰を選ぶ、と言われてわなわなとロゼッタは体を震わせた。
 決して喜んでいるわけではない。人の話を聞かない彼らに怒っているというか、呆れているというか。

い、いきなりこんな展開じゃ誰も選ぶわけないでしょー!!!


 そして、その後ロゼッタは誰かを選んだとか選ばなかったとか。


 アスペラル完
















エイプリルフール\(^o^)/

はい、ここまで読んだ方お疲れ様でしたー
本日は4月1日、四月馬鹿の日ですね。質の悪い嘘には定評のある乃木です、こんばんは。

というわけで、あまりのおかしな急展開で途中で気付いたかと思いますが、上記のは全て嘘です。今日のは嘘更新。
本物の10ページ目は書いてあり、今皆さんがみているのは嘘の10ページ目です

無理矢理アホな逆ハー展開にしてみましたが、いかがだったでしょうか?

思い付いたのがさっきなので、急ピッチで書いたので荒いです。すみません。

本物の10ページ目は後日更新します!
お目汚し失礼しました!


2011.4.1 乃木

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