幕間2
〜第3幕終了後〜
「リカード、交代。自分が背負う」
「……百メートル前で交代したばっかりだろ」
そう言ってリカードは深い溜息を一つ吐いた。
それでもアルブレヒトは諦めるつもりはないらしい。リカードの背にある者――未だ眠るロゼッタを見ていた。
リカードがルデルト家の男達を撃退したものの、ロゼッタは森の中で突然倒れた。シリル曰く、初めて魔術を使って身体が一気に疲労したかららしい。
そんな彼女を起こす事なく、背負って彼らは急いで離宮に行く事にした。
そして今はリカードが背負っていた。百メートル程前でアルブレヒトと交代したのだ。
しかし、その交代にはアルブレヒトは納得していない様である。
「……リカード、絶対落とすな」
「落とさねーよ。離宮までまだ距離はあるんだ、ちゃんとバランスを考えて交代しろ」
どうやらアルブレヒトは二人が仲が悪いので、リカードがロゼッタを落とすのを危惧している様だ。
流石に寝ているだけとはいえ、倒れた人間をわざと落とす程リカードも非道ではない。引き受けたからには、ちゃんと離宮まで運ぶつもりだ。
「じゃあ、次はあの木で交代」
そう言ってアルブレヒトが指差したのは、二百メートル程離れた木。それでも大した距離ではない事は明白だった。
「大して変わらないだろ……」
「残りは自分背負う」
「残りって……離宮までまだかなりあるからな」
「ははは、頑張って下さい二人とも」
「いや、お前も手伝えシリル」
その後、ロゼッタはリカードとアルブレヒトの手によって離宮に運ばれる事となる。ちなみに、シリルは不参加だったりする。
幕間2end
(17/17)
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