03


「む、無理ですぅーーー!!」


子供はどうしても、叫ばずにはいられなかった。


「ここまで話を聞いといてそれはないだろう?」
「そんなの知りません」
「でも、僕たちは君しか頼れないんだ」
「そんなことないと思います。きっと大丈夫です」
「何が大丈夫なんだよ」
「さっきもあのPCで見ましたが、あなたたちは人気者です」
「あぁ、そのようだな」
「(自信満々がイラッとする)・・・」
「口元が歪んでいるが、どうかしたか?」
「いえ、ですから、あなたたちを受け入れてくれる人ってたくさんいると思うのです」
「ほう、で?」
「で、呼びかけたらきっと贅沢っていうか、それなりに自分の融通とか要望とか叶えてくれる暮らしが手に入ると思いますので」
「残念だが、それは出来ない」
「どうして!?」
「そうだな。簡単に言えば、私が嫌だからだ」
「はぁ、何その我儘っぽい理由!?」
「俺も、出来れば遠慮したい」
「えっ?」
「俺もちょっと、な」
「でも、」
「・・・もそ」
「何て?」
「長次も嫌だって。僕も自分を売るみたいであまり気乗りしないな」
「うぅっ」
「もちろん。私も嫌だぞ」
「そんな」
「よって、ここに居させてもらいたい」
「迷惑だってことはわかっているけど、君だけが頼りなんだ」
「「「「お願いします」」」」
「ですから、無理なんですー」


そんなところで、冒頭の叫びを再び上げることとなった。


「なぁ、どうしてダメなんだ?」
「そんな、いかにも不思議です。意図がわかりませんという顔をしないで下さい」
「ここは乗りかかった船という事で頼む」
「乗ったつもりはありませんけどね」
「ごめんね、できるだけ迷惑かけないようにするからさ」
「ちょっとちょっと、話が勝手に進んでいるから、本当に無理なんだって」
「あのさ、無理な理由を言ってくれないか?」


やっと、子供の意思を聞いてくれる会話へとなったが、他の数人はそんなの必要ないだろうとでも言いたげな目で見つめているが、どうにか話を聞いてくれることになった。


「り、理由は」
「「理由は?」」
「ここ私の家じゃないから」
「お前も不法侵入者なのか?」
「俺たちと一緒だな」
「違うし、勝手に勘違いしないでよ!ここは私のいとこの家なの。私はこっちの近くの学校に行きたかったから居候させてもらっているの!!だから、居ていいよなんて私が決められないの!!!!」


一気に怒鳴るように言い切った子供の言葉を冷静に解釈して判断した六人は顔を見合わせた。


「という事は、そのいとこを説得すれば僕たちもここに居候してもいいという事で」
「君は、私たちがここに居させてもらえるようにと援護してくれるということか」
「え?」


どうして子供が援護しなくてはいけないのかわからずに、首を傾けて考えるとそれに気が付いたのか、教えてくれた。


「私が決められないから、居ていいとは言えないという事は、自分が決められた場合は居てもいいと決められるという事だろう?つまり、多少なりと私たちを住まわせても良いと認めているということだろう?」
「(ううっ。日本語って難しい。でも、私だって良心は存在するもん。今の時代で生きていくのが難しいって教えといて「さようなら、がんばって元の世界に戻るのを見つけてね」なんて言えるまで強くないよ)・・・す、少しだけですけどね」
「なら、迷惑をかけるが、頼む俺たちがここに居られるように口添えをしてくれ」
「「「「「頼む/お願いします」」」」」


一人をきっかけに、一斉に土下座をする六人に項垂れながら、分かりましたと言わなければならないのは仕方のないことだ。



どうせこうなると思った(END)

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