01




「な、何・・・・・っうぁぁぁ、来ないでぇぇぇ」
「な、静かにしろ、ここは何処か答えてくれ」


何故こんなことになったのか、それは突然の出来事だった。


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夜ご飯も食べて、お風呂にも入った。
今日もアルバイトを頑張って終わって疲れを流して、あとは寝るだけ。
明日は土曜日、しかも月曜は祝日だから3連休。
まずはいけないくらい寝て、どうするか決めよっかな。


「今日大人さん飲み会だって言っていたから、先に寝ていて良いとも言っていたし、玄関以外の戸締りと、ガスの元栓だけ確認したら寝ようっと!大人さんデロデロになってないといいな」


そう呟きながら、リビングの戸締りをして2階にある自分の部屋へと向かう途中に上から何かが落ちる音と、男の声が聞こえた。
もちろんのこと子供はびっくりして、どうしようと思いながらここに居ない大人に早く帰ってきてと願う事しかできなかった。

とりあえず自分の身を守るためにか、玄関に何故か置いてあった金属バット(大人が会社の飲み会の景品で持ち帰ったもの)を持ちながらリビングに戻ってソファの陰に隠れていた。


「(大人さんがもし強盗や変質者が侵入したときは、何を取られてもいいから隠れて自分を守れって言ってくれてたもん。うぅ〜まだ電気付いていたのに侵入されるなんて思ってもみなかった。怖いよ、早くこの家から出てってよ侵入者)」


どことなく怒鳴り声がきこえることから不法侵入者はまだ家にいるみたいで、しかも何故か此方に近づいてきているような気がしてならない子供。

見つかりませんようにと願いながら身を縮めていた子供の願いむなしく、ゆっくりとリビングの扉が開いたのを見て、子供の思考は限界に近かった。


「(リ、リビングにまで入ってきちゃったーー!!)」
「そこに隠れているのは分かっている。気配がダダ漏れだ」
「(け、気配って何!?そんなの隠せないよ)」
「出てこい、さもなければ」
「(え、ヤバい?出ないと私危ない?でも、空気が痛くって体が動けないよ)」
「もう一度言う。出てこい曲者」
「(く、曲者はそっちじゃないかー!!)っあ」


怖くなってバットをもう一度握りなおした瞬間、自分の横を何かが通って行き、後ろの襖に何かが刺さるような音が聞こえて子供は振り向くと、刃物っぽいものが刺さっているのを見て血の気が下がり、隠れていたソファから出てしまった。


「やっと出てきたか女」
「え、え、え、」


声のする方を見ると、複数と思っていたが6人ばかりが同じ緑の服をまとって立っていた。


「答えてもらうぞ、此処がどこで、お前は何者か」
「え、な、何なの」
「もちろん次は脅しではない。命が惜しければ正直に答えろ」


そう言うと右足を前に出して、刃物を構えた瞬間子供のすべては限界を超えた。


「やぁぁぁぁ!!」
「「「「「「!!!!?」」」」」」


突然叫びだした子供に驚きながらも警戒を解かずに、苦無を構え直した瞬間。
冒頭のような叫び声をあげた。


「ヤダヤダヤダ、来ないで、来ないでよ!お、お金なら持って行ってもいいから、来ないでぇぇ、やぁぁぁ」
「「「「「「・・・・・」」」」」」


一心不乱に目を瞑って持っているバットを目の前で振りかざして泣いている子供を見て、困惑する不法侵入者。


「お、おい。待て、話を聞け」
「やぁぁだぁぁぁ。宝石類は家にないけど、お金ならこその棚にあるから来ないでー」


子供の姿があまりにも演技とは思えない勢いで泣いて混乱しているので、侵入者達は少しだけ警戒を解いた。


「文次郎と留三郎のせいだな」
「「なっ!!」」
「あんなに泣かせちゃって、まともに話もできないじゃないか」
「お前らだって殺気を飛ばしていたじゃないか」
「・・・・・最後のきっかけは文次郎」
「そうだ、長次の言うとおりだ。あの一歩で泣いたぞ」
「うっ」
「俺は動いてねぇ」
「き、汚いぞ。アヒル野郎」
「なんだとやるのか」
「文句あるか」
「お、何だか楽しそうだな、私も混ぜろ」
「「だぁ、邪魔だ小平太」」
「ちょっとどうして喧嘩になっちゃうの!」
「二人はあの女をどう見る?」
「僕は大丈夫だと思うんだけど、仙蔵は?」
「そうだな、あの棒を持つ手もただ握っているだけ、振っているとはいえ簡単に止められる。肩から出ている腕も一切鍛えられた感じもない。投げた苦無の後も少しは警戒するだろうに、恐怖心しか伝わって来なかったしな」
「彼女は無害だと思う」
「それが長次の答えだね」
「あぁ。・・・・・後は情報を」
「そうだね、彼女もちょっとだけ混乱はなくなったようだし」
「と言う訳で、こちらの会話が少しは聞こえていたであろう。少しは落ち着いたようだから、私たちと話をしないか?」
「ひっ(大人さん。こうなった時の対処はどうしたらいいですか?)」


出来るだけ優しく声をかけてくれているのだろうが、先ほどまでが先ほどまでだった子供にとっては、その彼らが落ち着いて声をかけてくる事も恐怖の一つになっていた。



出会い(END)

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