07



「さて、説明とかしてもらえるかな?」
「えっと、その」
「「「「「「(……頼む子供)」」」」」」




二日酔いもなく、朝を爽やかに目覚めた大人はカーテンを開けて、朝日を部屋の中へと注ぎこませると、慣れた手つきでコーヒーを入れた。
バットが乗っているテーブルをきれいに片づけてから、座り朝刊を読んでいた。

そんな優雅な時間を過ごしていると、2階から降りてきた子供が顔を出した。


「おはよう大人さん」
「おはよう。今日は休みなのに早いね」
「ぅえ、うん。ちょっと気になっていることがあってね」
「早起きするほど、気になっているの?」
「そ、そうなの。あはは」
「そう。あ、何だか落ち着きないし、お茶飲む?」
「そ、そうかな?普通だと思うけど、お茶は飲もうおかなぁ」


やっぱり今日は何処か変だねと言いながら、キッチンへと向かった大人を見送った子供は、チラッと客間に目を向けると、ほんの少しの隙間から目がかち合った。

分かっている。ちゃんと話を切り出すからと言う思いも込めて、彼らを見て何度か頷いてから、キッチンから戻ってくる大人を緊張しながら待った。
それは、客間から覗いて様子を見ている彼らも同じ緊張をしていた。

コトンと置かれたコップは全部で8つ。


「……え、大人さん?」
「ん〜?」
「これって、その・・・・・」


どういうことか気になるし、みんなで話した方が早いでしょと言いながら笑っている大人の言葉に彼らがいたことがバレテいたんだと思いながら、まぁ客間の襖が閉まっていることがあまりないから不審に思うことは当たり前だよなと思いつつ襖を開けて、子供は彼らをリビングへと促した。

好きなところに座ってねと言う大人だが、子供はどうしてこんなに冷静なのかが気になるところだが、思っていても仕方がないと思い、リビングの椅子に座ると、子供を見習ってか、彼らも座り始めた。
なぜか床へと。

何故床に座るのと言いたげな大人の視線は気にしないことにした子供は、あのと言葉を発して、冒頭へとなる。


しどろもどろになりながらも、説明をして、さらにはPCを取り出して彼らの説明をした。
説明が終わると、大人は小さく息を吐いて天井を見上げてから、PCの画面を見つめ続けていた。
そんな大人の動きに不安を感じたのか、今まで黙っていた彼らが大人へと訴えかけ始めた。


「あ、あの!確かに信じられない話かもしれませんが、本当なんです」
「私たちも信じがたく、未だに夢ではないかとは思案しておりますが、その考えは一種の現実逃避で、これは確かに自分が経験している現実だと受け入れております」
「いきなり言われて混乱している事はわかっる、じゃなくて、分かっています。」
「このままでは、この世界で私たちは生きていけない」
「俺たちにできることはなんだってします。だからお願いします」
「・・・・・お願いします」


伊作を筆頭に仙蔵、留三郎、小平太、文次郎、長次と言葉を発した彼らは、一斉に頭を床に着けるように懇願しだして、子供は目を丸くした。


「(昨日の私へのお願いする時とは雲泥の差があるんだけど、私舐められていた?)」


など、少し本題からずれてしまった思考へとなっていた時に、大人さんがそっかと小さく言って、子供の意識は戻って行った。


「そういう事だったんだ」
「子供さん、あの」


彼らが、必死な姿と、もし自分が彼らと同じ立場だったらと思うと、自然に援護しようと子供は考えを巡らせるが、何を言えばいいのかわからないまま言葉が言いよどんでしまっていた。


「いいよ」
「「「「「「え?」」」」」」
「大人さん?今、なんて」


PCのキーボードをマウスをいじりながら、簡単にいいよと言った大人に頭が付いて行かないのは子供も彼らも同じで、意表を突かれたように、ぽかんとした顔を大人へと向けていた。


「だから、良いよって」
「良いって、何が?」
「何がって、今はなしている事って、彼らはこの時代どころか、世界も違うところで、アニメの登場人物で、彼らがここで帰れるまで住むことを私に交渉していたんでしょ?」
「はい。そうです」
「だから帰れるまでここに居ればいいよ」


そう軽く言って笑った大人さんに、子供は大物かもしれないと思ってしまうと同時に、彼らは安心したのか、肩の力が抜けたように顔を見合わせては良かったと笑い合っていた。



説明は焦ると出来ない(END)

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