06



「ぐ〜〜・・・・・へへっ」


気持ちよさそうに寝るのは構わないけど、せめて毛布などでお腹だけでも何かかけて寝てくれたらと言いながら、気持ちよさそうに寝ている大人へと毛布を掛けてから、子供も部屋へと戻りベッドへと潜り込んで眠る前に、出来るだけ起きたくないと思いながら疲れもあるのか、夢へと沈んでいった。


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「ま、どうぞグイッと」
「す、すまない。いただこう」
「ありがとう」
「「「「・・・・・」」」」
「ボソボソ(いいから、年齢的に飲めないのは仕方がないので、飲むふりでも構いませんから)」
「ボソッ(いや、俺たちはもう酒も飲める年齢だ)」
「ボソッ(そこが問題ではない)」
「ボソッ(なら、いいじゃないですか、大人さんに嫌われますよ)」


子供にそう言われると、飲まないわけにはいかず、分かったと唱えた。
のだが、コレを飲むの?と言いつつ飲むのを特に渋る二人がいた。


「ボソッ(い、一瞬で構いませんから)」
「ボソッ(はぁ。わかったよ)」
「ボソッ(なんだか悲しい)」


不憫だと思いつつ、残りの四人はお猪口を手に取り少しだけ飲んだ。
それを見た二人。七松と善法寺もため息を吐いてから、少しだけ飲むフリをして、下に置かれている皿から水を舐めた。
あまりにも不憫な二人の姿に、四人は口元を引き攣らせていた。


「おやおや、一気に飲むなんていける口ですねー。おかわり入れますねー」


少し暗鬱になりそうな空気には一切気が付かないまま、明るい声で行動するのは大人であった。


「え、あっ」


もう十分なので気を使わずに。と潮江は言おうとしたが、子供が大人の行動を何も止めないところも含めて、今の大人に何を言ってもきっと無駄だろうなと思い、潮江だけではなく、他の皆も彼女の行動を見つめていた。
大人がおかしな行動をしないかと監視をしているというのとは違って、手伝った方がいいのか、自分たちがやった方がいいのかという、酔っ払いならではの行動の行く末の不安があるからだ。

一升瓶を片手に持っている大人。
その姿を見た瞬間に、台拭きを数枚とバットを手に持ってきた子供に、なぜと思った瞬間理解した。


トクトクトク・・・ボタボタ


「「わぁぁぁ!?」」
「こぼれているぞ!」
「え、どうかしましたか?どうぞ」
「え、いや、その」


トクトクトク・・・ボタボタボタ・・・


「「あぁぁぁ!!」」
「さぁ、どうぞ」
「・・・もそ」
「遠慮はいらないよ、さぁグイッと」


もう、こぼしてるよ大人さん。と言いつつ、子供が布巾で拭いて、さりげなく手元に大きめのバットを置いているところを見ると、きっと何度もしているからこそ対処が早いことが伺えた。
だが、酔いは相当で、しっかり会話をしているようで、言葉のキャッチボールは出来ない。
普通なら、お猪口に注いだ量はこぼれることもないのに注ぎ方に問題があった。

一つは、お猪口を何故が逆にして、本来中身が入れられる方は逆さを向いて机に伏せられている。
反対側に普通に入れるからこそ溢れるのは当然のこと。
もう一つは、お猪口を片手で支えておきながら、お猪口の横へと注いでいた。
当然そこには何もないのでそのままテーブルに酒を流すこととなっていた。
当たり前だが、中在家に渡したお猪口の何は何も入ってはいない。

「・・・・・」
「あっはっは。いやぁ、月見酒もいいもんだね」
「・・・・・」
「大人さんカーテン閉めているので月は見えてないですよ」
「満月じゃー」
「・・・・・」

さすがの中在家も対応に困っているのを見て、他の五人は色々なことを見ないふりをすることにした。


数十分後...


「ん〜…。へへっ・・・・・」
「ね、寝たのか?」
「はい。では、皆さんもとりあえず寝て明日ちゃんと話し合いをしませんか?」
「ああ。そうだな」
「ごめんね、子供ちゃん。迷惑かけちゃって」
「無理矢理世話になるようにしてしまったしな」
「そうですね。でも、今はこちらが迷惑をおかけしましたので、そのお詫びで泊まらせるということで」
「すまないな」
「いえ、それではおやすみなさい」
「「「「「おやすみ」」」」」


実習とはまた別の疲労感がすごいあると彼らが感じて、思っていたことを、子供は知らないのはあたりえだろう。



手も出せない状況(END)

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