ライバル



いつものように真っ直ぐとつぶらな瞳で俺と見つめてくる愛しいジュンコ。
次いで、首に巻きついて互いに見つめ合い思いが繋がる。
なんて素敵な一時。
孫兵は目を閉じ、ジュンコだけを感じて、いつもの様に頬に顔を摺り寄せてくるだろうジュンコを待っていた。
幸せな時間をかみしめて待っていたが、今日は摺り寄せてくるジュンコがいつまでたっても来ない事に疑問を抱き、閉じていた目を開けた。

そんな孫兵の視界に入ってきたのは、キョロキョロと周りを見渡しているジュンコの姿だった。

「どうしたんだジュンコ?」

不思議に思って声を掛けるが、ジュンコは孫兵を見ないまま未だにキョロキョロしている。
そして、一点を見つめて止まると、スルッと巻き付いていた首から離れて行った。
まさかの行動に、孫兵は硬直する。

すぐにはっとして、ジュンコを追いかけると、公園の芝生の上で寝ている名前が視界に入ってきた。
シャーと声を出すと、寝ている名前のお腹の上で丸まって眠ったジュンコの幸せそうな姿を見て、僕はどうすることも出来ずに立ち尽くすしかなかった。





という、夢を見た。

「名字名前さん」
「えっと、なんで睨まれているのでしょう」
「貴女さえ、貴女さえいなければ!」
「ちょっ、何なんですかいきなり。私何かしました?って、何で泣いているのですか」
「泣いてなんかいません!」
「でも、目が潤んで・・・・・」
「ジュンコは僕のです!」

そう言い放って、駆けて行った孫兵の姿を見送るしかなく、後に八左ヱ門に相談に行こうかと悩む名前がいた。

本人以外、彼に何があったのか知る者はいない。



(END)
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