入れ替わり3
−三郎編−
入れ替わったのち、名前の姿をした三郎は、たまにはしっかりと体を動かすことも必要と言って、自分の用事もあったので、出かけて行った。
その際、最近ではサボりがちになっていた洗顔後のエイジングをしっかりとしている姿を見て、少しだけ引いたが、出かけた言葉をすべて心にしまって早々に見送った。
「出かけると言ったが、文句も言われない日にだらけて何が悪い」
せっかく私の体になったんだから、有意義な時間を過ごすんだと言って出ていった扉にむかって呟くと、踵を返して冷蔵庫からジュースとお菓子を持つと、体は三郎のものなので三郎の部屋にお邪魔していいと言われていたので、TVをつけ、ソファーに寝転がって名前にとって有意義に過ごしていた。
数時間後―
ドタドタと騒がしい足音が、この家のドアを開けると迷いもなくリビングへと入ってきた。
「「「「三郎ぉーーー」」」」
「うるさい」
「どうしたんだよ三郎!」
「そうだ。何があったんだ!」
「お前が一回も家から出てこないなんて!」
「いつもちょっかいとか出してくる三郎はどうしたの?」
「………」
「病気か!?」
「え、三郎病気なの?」
「栄養取るために豆腐食べるか?」
「病人ならうどんだよ」
あーだこーだ・・・・・
「……………」
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「鉢屋さんの人生ってなんですか?」
「戻って早々なんだよその質問」
「私にとって有意義な日と言う、何もない一日を送ったのですが、かくかくしかじかでうまうまうしうしみたいになりまして」
「また名前はそんな一日を、せっかくの私の体になったのだから有意義に使えってあれほど言ったのに」
「だから、私には有意義でした。で、そんな日を送っただけで脳検査まで話が発展するなんて、どんな人生を過ごしているのですか?」
「普通だろうが」
「いいえ、たった一日でつかれました」
言い切った名前の顔は印象的で、少しだけ自分を見直そうかと思った三郎だった。
(END)
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