夏といえば3


−怪談−


「その日は、今日みたいに蒸し暑い日だった」

そんな言葉から始まった怪談大会。
彼らは今日も今日とて三郎の部屋へと集まりっていた。
暇になった彼らは、怪談大会へと事はなしたが、それが妙に盛り上がっていたのか、一人一つ語ろうとなり、三郎、雷蔵、兵助、勘右衛門と話して、最後は八左ヱ門の番となっていた。
そしてクライマックスへとなると、皆話へと集中していた。

「マンションに入ろうとして、エントランスを通り過ぎる時、キョロキョロしている人がして、同じマンションの住人かもしれないと思った男は、声をかけたんだ。そしたら、血の気がなくなった顔で、男の腕をガッと掴むとこう言ったんだ『やっと見つけてくれたんだね。ずっと一緒にいたのに』と」
「「「「・・・・・」」」」
「おしまい」
「三郎みたいに叫ぶのも怖いが、静かなのもけっこう来るね」
「うん。ドキドキする」
「まさか、八がここまでとは意外だ」
「どういう意味だ!」
「それほど怖かったってことだよ」
「バーカ。怖いわけあるか」

先ほどまで静まり返っていた部屋とは打って変わり、笑い声で満たされていると、チャイムがなり、出迎えるとそこには名前がいた。

「ほら、コレ」
「わざわざありがとうございます」
「なんだソレ」
「あぁ、アクセサリーです」
「え、三郎から名前ちゃんへ!?」
「な、そんなんじゃない!」
「はい。壊れたのでどうしようと思って困っていたら、そのくらいなら直すと言ってもらったので、直してもらいました」
「ま、そんな事じゃないかと思ってたけどね」
「あぁ」
「だな」
「うん」
「お前ら・・・・・」
「それでは、時間もありませんので私はこれで」
「名前ちゃん、またね」
「今度は一緒に怪談しよーね」
「怪談ですか?」
「うん。名前ちゃんの怖い話聞きたいもん」
「・・・・・わかりました。それにしても暑そうですね」
「そうか?冷房も付いているし、涼しいぞ?」
「いえ、気温よりも大人数で暑苦しいです。いつもは五人なのに居過ぎですよ。よくこの部屋に入りましたね」

では、と言って出て行った名前を静かに見送り、彼らは視線を絡ませると一気に体感温度は下がり、外にまで叫び声が響き渡った。
「みんなどうしたんだろ」
「怪談話をしていたので、一発軽いありきたりなものを話してきました」
「そっか、楽しそうでいいね」

名前に霊感は全くありません。



(END)
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