夏といえば2



−肝試し−


このあたり一帯で行われる町の祭り。
少ないが、店も出る。が、町の活性化も含んでいるのか、大半の住民は出し物をしている。
そして、彼ら五人も例外ではなく、出し物にエントリーして、さらに名前まで巻き込んでいた。
出し物はお化け屋敷。
メンバーは言わずもしれた鉢屋三郎筆頭の五人+中学生四人+私。
(準備にはもっと大人数がいたのだが、祭りを楽しみたいとのことで、当日の当番はこの人数となっていた)

「嫌です。自分たちだけで十分じゃないですか」
「そうはいかねぇだろ」
「人数足りますよね?私いらなくないですか?」
「いや、人数は何人いても構わない」
「ふーん。って、中学生?」
「ここで出た儲け分は、自分たちのものになるんだ。だから、まだバイトが出来ない中学生はちょっとした小遣い稼ぎさ」
「あひゃひゃひゃ・・・・・。がんがん儲けましょー!」
「きりちゃん、落ち着いて」
「きり丸は、ここの鉢屋先輩たちの店で四つの店の掛けもちってことは、時間配分が重要になってくるね」
「庄左ヱ門、相変わらず冷静ね」
「・・・・・一人はちょっとどころか、ガッツリと稼ごうとしていますね」
「では、がんばるぞー」
名前以外「「おぉーーー!!」」


ぎゃー
いやぁぁーー
マジで!?うわぁーーー

「・・・・・鉢屋先輩、尾浜先輩。出口付近に何か意外な仕掛けでもしているのですか?」
「いや、空気が噴き出すようにはなっているが」
「何でだろう?外に出ても叫んでいるね」
「ちょっと見てくるから、ここ頼むわ」
「了解、まかせといてー」
「はい。そのままサボらないでくださいね」
「・・・・・もう少し先輩を信頼して?」
「今までが、今まででしたので」
「ドンマイ三郎」
「勘右衛門笑うな・・・・・あの、庄ちゃん何か怒ってる?」

きゃぁーーー

「今度は乱太郎たちの声ですね。早く確認しに行ってください」

見に行った先で、鉢屋が見たものは、先に様子を見に来ていたのか、魂を出しているしんべヱと乱太郎の姿。
慌てて、鼻からもとに戻すと、ゆすり起こした。

「ちょっ、大丈夫か?」
「名前さんが、名前さんが・・・・・」
「き、きききえ、消えた・・・・・」
「は?」

受付にいるはずの名前に確認するために、周りを見ながら電話を掛けた。

『はい』
「あー。今どこにいる?」
『押し付けられた受付にいますが』
「ですよねー」
『どうかしましたか?』
「いや、ずっとそこに居たよね」
『いましたが?客が中に入れるのは、私が受け付けたからですし、帰ってもいいのですか?』
「うん。そうだよね。だからまだ帰らないでって、どうしたお前たち?」
「は、はは、鉢屋せんぱーい、あ、あ、あれ」
「・・・・・名前?」
『なんですか?』
「いや、名前だけど、名前の事じゃなくて」
「「「ッ!?」」」

ぎゃぁぁーーーー

『うるさいです』

そう言って電話を切った名前が、楽しそうに笑っていた理由を彼らは知らない。

「まぁ、大繁盛ですけど。未来もやりすぎ」

未来の力をふんだんに使い、今はまだ存在していない3Dと4Dを駆使して、リアルな自分を映像として三か所に設置した。
一か所目には、助けてと言って、二か所目には、痛いと訴え、三か所目で腕が落ちて呪うからと呟いて消える仕組み。
強がっている客も、出口を出て小さなライトを差し出す場所は名前のいる受付の近くで、彼女を見て叫んで逃げていくのだった。



(END)
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