雨の日の迷い猫



『最近の若者は冷たいの』
「年寄り臭い事言うな。それと、涙出てないから」
『キャラ作りさ』
「そんなキャラいらないだろ」
『突っ込み上手くなったな』
「名前と居たら勝手にそうなる。それに、上手くなったと言われても嬉しくない」
『せっかく褒めてやったのに。あたしは少しショックだ』
「…名前。嘘だろ」
『まぁね』
「やっぱり」


だいぶ名前の事を理解し始めた佐伯。
流石、頭もいいだけに学習能力は高い。

ビュオォォォーー

突然の横雨に元々濡れていた名前と、今初めて濡れた佐伯。

「…」
『あっはっはっ。楽しー』
「…(怒)」
『髪乱れたな』


先程の雨と風邪で、制服は前が濡れて、髪が乱れてしまった。
佐伯は、纏めていた髪をクシャッとしていつも学校で見る姿になる。


「最悪だ」
『どこがだ?』
「もういいから、早く入れよ」
『だから、無理』
「風邪ひくだろうが」
『気合い』
「無理だから。入れ!」

グイッ

『ぅおっ!』


佐伯は、名前の腕を掴んで無理矢理店の中に入れてから扉を閉めた瞬間…。
ミャーという猫の鳴き声が聞こえた。


『「…」』
『…ミャー』
「違う」

ビシッ

『痛い』
「丁度いい場所にある頭が悪い」
『それは、背が小さいと言いたいのか?』
「実際そうだろ」
『言 い た い の か ?(笑)』
「いや、うん。じゃなくて…なんで猫?」


しまったと言う顔をしてたがもう遅い。
名前は長年培ってきたオーラを佐伯に向けている。


「…ごめん」


耐え切れなかった佐伯は、謝るしか道は残っていなかった。
その佐伯に向かって、溜息交じりで話しを続ける。


『だから、店に入るのは無理だって言ったんだ』
「悪い。でも、ほら!今誰もいないし…別に」
『ダメだ』


そう言って、また外に出ようとする名前に慌てて止めに入る佐伯。


「おい、待てって」
『外にいる』
「いいから、いろよ」
『ダメだ』
「店じゃなくて、俺の部屋ならいいから」
『(部屋イベントか?ってか、今日の佐伯…変。)キャー。大胆発言だー』
ミャー
「なっ!?違う。そんなんじゃない!お前も鳴くな」
『知ってる。そんなに慌てるなよ純情だな』
「…はぁ(名前のせいだよ)」

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