ハロウィンは恐怖?



だが、何も特にない日のはずだから何もないだろうとつき放つようにいった俺の言葉に、また3人は驚いた表情をしていた。


「マジかよ!明日はハロウィンだぜ」
「はぁ?・・・・・あぁ、そういえばそうだな」
「どんな行事か知っているのかよ」
「あれだろ、お菓子をくれないと悪戯するっていう」
「そうだ」
「それがどうしたってんだよ」
「この学校でお菓子をこよなく愛している奴は誰だ?」


明日が何の日か知ったが、結局はどうでもいいかなと思いつつ質問の答えを見つけるために考えをめぐらせて、たどり着いたのは名前の姿だった。


「あ」
「そう。名前だ」
「だからなんだよ。別にいいだろうが」
「本気か?」
「だって、俺菓子なんか普段から持ってねーし」
「その言葉が最後まで言えるといいな」
「問題はここからやねんで」
「名前が今作っているものは魔女の衣装だ。コレは俺がさりげなく会話から聞き出した」
「で?」
「そして、俺はこの紙を拾った。まぁ、この紙は声を書けようとしたら一枚だけ落として、声をかける前にこの紙を見たら声をかける事が出来なくなってよ」


ほらと言って渡された紙を見ると、言葉を失った。
悪戯項目そのEと書かれた紙で、その下には実行するであろう言葉が書かれていたからだ。


「ここから間がえらることは、名前は完璧にハロウィンを満喫し、尚且つお菓子をふんだんにもらうことを思考に入れて行動を起こしているんだ」
「さらに、俺が思うには、そのEと書かれている時点で@〜Dも存在する。そして、F以降も存在すると考える。しかも、くじ引き方式だ。その紙を入れる箱も作っていたのを見たからな」
「あ、あぁ」
「それ同等と、否もしかすると、それ以上の内容の書かれている紙を天童は引きたいか?」


そう言われてもう一度、まだ手元にある悪戯内容の書かれている紙を見て、紙を持っている手に汗をかくような気分になった。


「・・・・・なら、普通にチョコとか飴とか持っとけば平気だろ。なんで、お前等はそんなに真剣なんだよ」
「それがな、名前の友達に会ったんだけどさ、俺らに妙に期待しているみたいなんだ」
「は?期待?」
「そう。俺は、その・・・・・こう見えてもお菓子作れるから、きっと立派な手作りのとか、針谷はバンドしている人はきっとお洒落な店も知っているから、お菓子も期待できるとか、クリストファーは、本場のハロウィンも味わっているからきっと本格的なサプライズとかなんとか言って・・・・・」
「だけどよ」
「言いたいことは分かっているのだけど、満面の笑顔で毎回オレたちの言葉に反応する名前を見たら、なんつーの?飴とかではやっぱりダメかなって思ったらよ」
「そういう事。で、飴だけ渡して機嫌損ねて、その紙を引いてみない?なんて言われると思うと、何故か知らないがプレッシャーが・・・・・」
「と、言うわけやねんけど、わかってくれた?」
「わかったけど、今の会話から俺関係あるのか?」
「たまに会話にお前の名前を聞くからさ」
「せや、家に遊びに来たときの手土産が素敵やったーって、言ってたし」
「・・・・・」
「ま、明日までに気付けてよかったじゃん」
「そう、だな」


こうして、3人とちょっとした友情を手に入れた俺は、午後を全てサボって、公園通りや商店街など、いろんなところを回って、ハロウィン関連のものを見ていた。

次の日。
制服のポケットに昨日買ってしまったお菓子を突っ込みながら、学校へ向かうと、校門が少しざわついていた。

そこには、制服の上からマントと尖り帽子を身に付け、足元にはくじ引きのような箱。
片手には大きな籠(もうお菓子が籠の中に結構な量が入っていた)。
もう片方には箒ではなく、何故か木刀を持っている名前から満面の笑みで、 Trick or Treat と発せられたこの言葉がこんなにも緊張するものだと初めて知った。


無事に済んだが、ある意味俺を助けてくれた彼等は無事だったのか気になった10月終わりの朝だった。



END

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