彼女と初めて出会った時のことをよく覚えている。 夕日に染まる図書室で、彼女は少し遠慮がちに俺に声をかけてきた。 その不安の見え隠れする瞳を見た時に、守りたいと思った。 今思うと、この時にはもう、彼女に恋に落ちていたのかもしれない。
出会ってすぐに、世界の終わりを防ぐ戦いが始まった 、俺は多くの怪我を負い、彼女をたくさん泣かせた。 そんな俺を彼女は好きだと言い、俺は一度その気持ちを拒んだ。 人間ではない、獣の血が入った俺は、彼女には似合わない。…そう、思っていた。 しかし彼女は、そんなことは気にしない、と言った。 獣の血が入っていようとなかろうと、俺は俺だと。 その言葉でもう、自分の気持ちをごまかせないと思った。 手に入れたら二度と彼女を手放せない。 そして手放さない。 絶対に……、もう……。
「……ぱい、…祐一先輩……」
目を開くと、目の前に彼女の顔があった。 少しふて腐れた表情をしている。 俺はどうやらまた窓辺に寄り掛かったまま寝てしまっていたらしい。
「……おはよう、珠紀」
「おはようじゃないですよ。放課後図書室で会うって約束してたのに、先輩寝てるんだもん……」
「すまない」
「……ふふっ、いいですよ。なんか祐一先輩らしいですもん。……きゃっ!ゆ、祐一先輩!?」
笑う彼女の手を引き、腕の中におさめる。 温もりが心地よい。 この温もりを守ることができ、己のものにできたことがこんなにも嬉しいなんて。彼女と出会う前の俺が知ったらどう思うだろうか。
「好きだ、珠紀。……愛してる」
言葉で言い表せぬほど、お前を思っている。 その表せきれない気持ちを伝えるために、俺はそっと珠紀に口づけた。
君を思う
(誰よりも、何よりも、愛おしい)
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