今日はクリスマス。 毎年家族か友達としか過ごしたことのなかった私も、今年は大切な人と過ごすことになった。 大好きな、祐一先輩と――。
「あら、珠紀さん、今から孤邑さんと…?」
玄関で靴を履いていると、美鶴ちゃんが出てきて微笑んだ。
「うん。祐一先輩と学校の図書室で会うことになってるの! 皆でやるパーティーまでには帰ってくるから」
「いってらっしゃいませ」と言う美鶴ちゃんの笑顔に見送られて、私は足取り軽やかに家を出た。
学校に着き、図書館の戸を開ける。しかし祐一先輩の姿は見えない。 けれども迷うことなく中に入り、奥へと歩く。
「祐一先輩」
案の定、祐一先輩は本棚に寄り掛かり、本を読んでいた。 なんとなく、出会った時のことを思い出す。
「珠紀」
私に気付いて、祐一先輩は本を閉じ、こちらへ歩いてくる。
「メリークリスマス、祐一先輩」
「…あぁ。メリークリスマス、珠紀」
祐一先輩が私の髪を撫でる。 それだけで、私の頬は赤く染まってしまう。こういう時、自分は恋をしていると強く思う。
「あの……祐一先輩。私、クリスマスプレゼントをいろいろ考えてたんです。…でも、いいのが思いつなくて。だから……」
私は祐一先輩の肩に手をかけ、少し背伸びをして彼に口付ける。
「これで……、いいですか……?」
あぁ、今私絶対耳まで赤い。 恥ずかしさのあまり目を逸らしたいのに、何故だか祐一先輩から目が離せなかった。 先輩は少し驚いた顔をしたが、すぐにいつも通りの優しい顔で笑った。
「かまわない。俺も何をあげていいか分からなかったんだ。だから……」
今度は祐一先輩が私を抱きしめて、唇を重ねた。
「これでかまわないか?」
「……はい」
息のかかる距離で見つめられ、囁かれ、私の心臓はドキドキしっぱなしだ。
「…お前にずっと触れていたい気もするが……、とりあえず、座るか」
祐一先輩は私の体を離すと、椅子まで導いてくれる。
「はい!私、お菓子とジュース持ってきたんです!」
そして私たちは、穏やかでとても楽しい時間を過ごしたのであった。
貴方と一緒にこの日を迎えたい。 来年も再来年も。 ずっと、ずっと――。
クリスマス
「祐一たち遅くねぇか?」
「どうせ二人でいちゃついて時間忘れてるんじゃないんすか?」
「んだと!?ちっくしょー。慎司、さっさと俺に美人を紹介しろ!来年こそ俺も彼女とクリスマス過ごすから!!」
「……はいはい。分かりましたから、真弘先輩も拓磨先輩も落ち着いてください」
「そうですよ。せっかく言蔵さんが美味しそうな料理を作ってくれたのですから、待たずに先に頂いてしまいましょうか」
「おぉ、そうだよな!後で二人悔しがればいい!!いっただっき「ただいまー!!」
「ちっくしょーー!!」
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