「……あの…、ユリウス……?」

「何、ルル?」

「私勉強したいんだけど……」

「うん、知ってる。だから自習室にいるんでしょ?」

「そんなに見つめられたら勉強できないわ…!!」

放課後の自習室。
先日だされた課題に取り組むも、私一人では解けないところが多々あったので、ユリウスに教えて欲しいと頼んでみた。
彼は勿論だと了解してくれ、さっそく自習室へとやってきた……のだが。
課題を始めて数分、ユリウスの視線はずっと私に向けられていた。

「ユ、ユリウス……?……ここ、教えてもらっていい……?」

「うん」

うん、と言いながらも、彼の視線はまだ私にある。
そして、おもむろに私の髪を一房指に掬った。

「ユリウス……!?」

ユリウスは、何?と問うように小首を傾げた。
もちろん私の髪の毛は彼の手に弄ばれたまま。
視線を少し逸らし辺りを見回すと、生徒達が興味津々に私達を見ている。
あぁ、恥ずかしい…!
そう思ってもユリウスに伝わるはずも、彼が私と同じように羞恥心を持っている訳でもなくて。

「ルル」

「……えっ!?…っ……」

そんなふうに気を抜いている間に、気が付けば目の前には彼の綺麗な顔。
我に返って慌てて離れようにも、ユリウスの手がしっかりと私の頭を固定してしまっていた。
あぁ…、もう……!
そう心の中で悪態をついても、私がこのキスが嫌な訳ではまったくなくて。
いつしか私は瞳を閉じ、ユリウスに体を預けていた。





恋は盲目とはよく言ったもの

君中心で世界は回る









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