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ワンド2のラギルルとカダティアです




山の中に小さく存在する村。
しかしその村は今日、いつになく盛り上がりを見せている。
それもそのはず。
本日は村人の婚礼の義。
しかもその村人は神聖なるドラゴンと人間の間に生まれた青年で、彼の妻となるのは遠い街で魔法使いとして名を広めた少女である。
外から嫁を迎えること事態珍しいことなのだが、更にその二人を祝うべく彼らの友人の魔法使い達が揃っているのだ。
こんなこと、村に前例のないことだ。

幸せそうな花嫁と花婿。その二人を祝福する花婿の祖父母、村人、彼らの友人たち。
花嫁と花婿を中心に、そこは笑顔が溢れていた。




そんな彼らを少し離れた場所から隠れて見守る者が二人。
一人は青年の姿をとった神聖なるドラゴン。もう一人は彼によりそうように立っている思念体の少女。
二人は花婿の両親である。

「幸せそうじゃねぇか」

青年は笑う。
彼らの禁忌の恋によって村人から迫害されていた男の子は、今は祝福を受けるまでに成長していた。
それが父として、こんなに嬉しいだなんて。口には出さなくとも、隣にいた少女はそれを読み取っていた。

「ラギなら大丈夫よ。だって私達の子よ。なにより、あの子がいてくれるもの」

彼女がいてくれるなら、ラギの笑顔が失われることなどありえないだろう。

「…あぁ、そうだな」

青年は背を向ける。
そして少女もその後を追う。

ティア。青年が少女の名を呼んだ。

「お前も、あんなふうになりたかったか…?」

自分と恋に落ちなければ、ティアもあの二人のように婚礼衣装に身を包み、村人の祝福を受けていただろう。

「あら、そんなことを悩んでいたの、ドラゴン様?」

バカな人、ティアは囁く。

「貴方に出会わなかったら、私は恋などできず、誰と添い遂げることも出産することもなく死んでいたと思うわ。貴方は私に出会ったことを後悔してるのかしら?」

「俺がそんなことを言うと思うか?」

「思わないわ」

ティアは青年の頬へと手を伸ばす。

「だから悩むだけ無駄なの。ねぇカダ、そうでしょう?」

「本当に、お前には敵わないな。流石俺の惚れた女だ」

愛してる、そう囁いてカダの唇がティアのそれに触れた。
思念体のティアに実際に触れることはできないが、この行為によって得られる満足感も、幸福感も、変わりはしない。

「行きましょう」

「あぁ」






「…ラギ?」

ふいに空を見上げたラギに、ルルは不思議そうに声をかけた。

「いや、なんでもねぇよ」

伴侶となった愛しい少女の瞼にキスを落とし、彼は笑う。

「ありがとう」

幸せに。そうどこからか聞こえた気がした優しい声に、ラギは応えるように呟いた。








願う

(いつまでも、幸せであるように)









2FDが感動すぎました









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