安心ってなんだろう/郭嘉 1/2


「あなたに膝枕をしてもらえるというのは……うん、いいね」
「『いいね』じゃないですよ、まったく……。はぁ……貴方といると…不安になります」

 唐突に吐き出された気弱な言葉に一瞬驚いた、が。

「どうかしたのかな? あなたがそんなことを言うなんて珍しいね」

 本当は……大方予想はついている。

「ずっと前から思っていたことです、貴方は……どこかへ消えてしまいそう、というか……」
「……私の居場所はあなたの傍だ。いつだって、ね」

 今にも泣き出しそうな彼女の頬を撫でる。

「……今はその言葉を信じましょう」
「なんだかあまり信用されていないようで悲しいな」
「不安にさせるあなたが悪いんです!」

 拗ねたように怒る彼女に思わず笑みがこぼれた。

「ごめんね。でも、私は……あなたといると、とても安心するよ」

 彼女を不安にさせているものの正体、それが一体何なのか、本当は分かっている。
 でももし、あなたの傍で“消える”ことが出来たらと思うと、心の底からほっとするんだ。

「見事にすれ違ってますね……」
「……うん、そうかもしれないね。でも、それでも…私はあなたの傍に居るよ」

 私の言う安心と、あなたの言う不安。辿り着く場所は、きっと一緒だ。
 だからその場所に着くまでの間、どうか……あなたの傍に居させてほしい。

 最期のその時……死が二人を別つまで──


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