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(146話〜???話+++++++)

「ドラゴサック行くぞ!私はドラゴサックの効果を発動!オーバーレイ・ユニットをひとつ使い、幻獣機トークンを2体特殊召喚する!」


ふたつあったユニットがひとつ、ドラゴサックに噛み砕かれて消える。
効果によって特殊召喚された幻獣機トークンがドラゴサックの両隣に浮遊し、現れる。
現在の私のフィールドにはドラゴサックと3体の幻獣機トークン。

幻獣機ドラゴサックの攻撃力は2600。
攻撃力3300のシューティング・スター・ドラゴンにはまだまだ届かない。でも私には、私を慕い、力を貸してくれる幻獣機達がついている。


「墓地に存在する幻獣機コカトルティーの効果を発動!コカトルティーを除外し、自分フィールドの幻獣機モンスターの攻撃力をこのターンの終わりまで1000ポイント上げる!」


私は勿論、幻獣機ドラゴサックを選択。
コカトルティーの援護を受けて、攻撃力が一気に3600まで上がる。
これでシューティング・スター・ドラゴンを超えた。


「幻獣機ドラゴサックのもうひとつの効果!幻獣機トークンを1体リリースし、相手の罠・魔法を1枚破壊する!当然、くず鉄のかかしを選択!」


幻獣機トークンがミサイルに変わり、ドラゴサックに装着。
ミサイルがくず鉄のかかしに向けて発射されたが、シューティング・スター・ドラゴンが立ちふさがった。


「シューティング・スター・ドラゴンの効果!1ターンに1度、カードの破壊効果を無効にして破壊する!ドラゴサックを破壊!!」


ミサイルを蹴散らしたシューティング・スター・ドラゴンが吼えて空間を揺らす。
こちらに向かってくるシューティング・スター・ドラゴンだが、残念。ドラゴサックの盾はたくさんある!


「幻獣機ドラゴサックは同じフィールドに幻獣機トークンが存在する時、バトル及び効果では破壊されない!」

「ふっ……やるな」


幻獣機ドラゴサックの前にバリアを張る幻獣機トークン達。
シューティング・スター・ドラゴンの効果破壊が不発に終わり、遊星さんのフィールドに帰って行く。
ドラゴサックの破壊効果が効かないのなら、次の策を使うまでだ。
私は、ヤクルスラーンの効果で場に伏られた速攻魔法を起こした。


「速攻魔法“光学迷彩(ステルス・ハイド)”発動!このターン幻獣機モンスターが攻撃する時、相手は伏せてある魔法・罠を発動できない!」


壁を破壊出来ないなら、すり抜ければいい!


「バトルだ!幻獣機ドラゴサックでシューティング・スター・ドラゴンを攻撃!ドラゴニック・ネメシス・ブレイク!!」


蒼天を突き抜け飛び上がるドラゴサック。
その身が太陽と重なった時、重力と共にシューティング・スター・ドラゴンへ一直線。

勝った。勝った!
くず鉄のかかしは光学迷彩の効果で発動出来ない。
遊星さんの残りライフは200。
幻獣機ドラゴサックはシューティング・スター・ドラゴンの攻撃力を上回っている。その差は300。削りきれる。
これで、私は……。


「な、」


笑っている。遊星さんの口元が、綺麗な弧を描いている。
どうして……どうしてそんな余裕が!


「シューティング・スター・ドラゴンの効果発動!」


ここで効果だって!?
このタイミングで発動できる効果をシューティング・スター・ドラゴンが持っているのか!?


「相手モンスターの攻撃宣言時、このカードを除外して攻撃を無効にする!」

「そ、そんなあ!!」


遊星さんのフィールドにいたシューティング・スター・ドラゴンが、光のバリアを残して消える。
ドラゴサックの攻撃はバリアに阻まれて無効となり、攻撃を終えたドラゴサックが私の頭上に帰ってくる。

……手札に伏せられるカードはない。
私のフィールドにいるのはドラゴサックと攻撃力0の幻獣機トークン。トークンは守備表示だから攻撃出来ない。


「……ターン、エンド」


コカトルティーの効果で上がっていたドラゴサックの攻撃力が、3600からもとの2600に戻る。
そして遊星さんのフィールドに輝きと共に戻ってくるシューティング・スター・ドラゴン。


「エクシーズ……素晴らしい力だ。だがヒユラ、お前はまだ使いこなせていないみたいだな」

「お恥ずかしい限りです。きっと3人なら、私のデッキでも遊星さんを……」


ルチアーノが一番、私の幻獣機を動かすのが上手かったっけ。
まあ、ホセは私のデッキを使ってデュエルしたことないし……プラシドも数えるくらいしか私のデッキでデュエルしてなかったな。


「自信を持つんだ。俺のライフが、お前の実力を表しているだろう」

「……200、」

「正直、危なかったよ」


柔らかな笑みはまるで……そう、太陽。
全てを照らす暖かな温もりの光。
シューティング・スター・ドラゴンから感じる優しい力は……遊星さんの影響だろうか。


「遊星さん!こうしてあなたと本気のデュエルが出来たこと……私は絶対に忘れません」

「俺もだ、ヒユラ」


遊星さんがターン宣言。
1枚ドローして手札に加えると、シューティング・スター・ドラゴンの効果を発動した。

デッキから5枚ドローし、それを確認する。
引いた5枚の内、チューナーモンスターは2体。
シューティング・スター・ドラゴンは2回の攻撃が可能になった。


「シューティング・スター・ドラゴンで幻獣機ドラゴサックを攻撃!スターダスト・ミラージュ!!」


幻獣機ドラゴサックは同じフィールドに幻獣機トークンが居るとき破壊されない。
ドラゴサックの攻撃力を上回るシューティング・スター・ドラゴンの攻撃力が私に襲いかかる。

《ヒユラ 1300→600》


そして二度目の攻撃が、無限の力を宿した輝きが……。


「……あ、」


左手を誰かに握られる、そんな感触に私は思わず笑う。
この手は、この冷たくて硬い手は、いつも私を……。
言葉はいつもトゲまみれ。ひどい事ばっかり私に投げつけて、傷付けて。
でも私は知っている。この人がとても優しい事を。彼は不器用なだけなのだ。

私はアポリアを愛していた。
そして同じくらいホセを、ルチアーノを……プラシドを愛していた。


「……ゾーン、ごめん」


ドラゴサックが破壊され、巨大な爆発が起こる。
吹き荒れる暴風。幻獣機トークンが塵となって消えて、シューティング・スター・ドラゴンの幻影が私を吹き飛ばした。


《ヒユラ 600→0》


2017.01.15

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