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- ナノ -
(80話+++)

夜中に目が覚めるのはいつもの事だ。
ベッドから起き上がり溜め息をひとつ。
水でも飲みに行こう。ぼんやりそう考え、私は部屋を出た。
リビングではブルーノがいびきをかいてぐっすり。毛布が落ちていたので掛けておく。
音を立てないように蛇口を捻って水を汲み、すぐに飲み干す。
はやく部屋に戻ろう。
コップをシンクに置いた時だった。

カタリ。ガレージから音がした。
なんだろう……泥棒、かな?いやいやそんな……。
抜き足差し足……忍者を思い浮かべながらガレージに向かう。
立てかけてあったモップを手にしたのは、もしもの為を思ってだ。

そっとガレージへの繋がる扉を開けて中へ。
冷えた空気が肌に触れ、窓から差し込む淡い月明かりが真っ暗な中を照らす。
パソコン周辺で蠢く黒い影を視界に捉え、モップを構えながら影を見据えた。


「誰だ」

「ヒィッ!?」

「……その声、まさかイェーガー副長官さん?」


暗闇の中でこだました高音に驚きながらモップを壁にかけ、彼のもとに降りる。
こんな時間になにをしているんだろう。しかも、遊星さんのガレージで。


「ここでなにしてるんですか」

「それは教えられません。ヒユラ様には言うなと」

「プラシドだな」

「……」


プラシドの言いつけらしい。まあそうだよな。
プラシドはイェーガー副長官さんを手足のように使いまくる。副長官はパシりでもなんでもないというのに。
イェーガー副長官さんにお疲れ様ですと言えば、彼は疲れたように深い溜め息を吐いて頷いた。


「で、プラシドの命令でここに来たのは分かりました。問題は……呑気にカップラーメンを食べている事です」

「新作のカップラーメンが目に入ったものですから、つい。お腹が空いていまして……」

「ここの人はみんな眠りが浅いんですよ。せめて持って帰るとか……」


空っぽになった容器を持ったまましょんぼりする副長官さんの背中を押してガレージの外へ。
何をしていたのかは聞かないでおく。プラシドの考える事なんてたかが知れてる……ってルチアーノなら言うんだろうな。
イェーガー副長官さんを見送りすぐに部屋に戻った。
予想外のお客様だったな……完全に目が覚めちゃったよ。


翌朝。
大切なデータを盗まれたと騒ぐ声を聞き、私はイェーガー副長官さんが何をしに来たのかを察した。


2017.01.03

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