(80話+)
遊星さんに連れられてパソコンに向き合う青年。なにやら難しい専門用語を二人で呟いてはカタカタとキーを打っている。
ジャックのDホイールにした調整は、遊星さんとクロウのDホイールにも当てはまるらしく、それを聞いてクロウは喜んでいた。
対してジャックは不満げだ。「こいつが味方である保証はない」と警戒心丸出しである。
「キミは、えっと……」
「ああ。僕はブルーノって言うんだ」
「俺の名は……」
「知ってるよ。不動遊星でしょ?」
青年、もといブルーノ。彼は遊星さんを知っていたようだ。
当たり前か。現デュエルキングだもんね。知らない方が可笑しいくらいだ。
ブルーノは此方を振り向き、「クロウに、ジャック、だよね」と続ける。
そして私を見て目をぱちくりと瞬かせ、「君は……ごめんね、知らないや」と眉を下げて申し訳なさそうに笑った。
「知らなくて当然さ。ヒユラは最近知り合った仲間だからな」
「ヒユラ……」
「はい、ヒユラです。居候してます。よろしくお願いします、ブルーノ」
「こ、こちらこそ……。う〜ん……君、僕と前に会った事ある?」
「お?ナンパか?」
「ありませんよ。もう、何を言ってるんですかあなたは」
変なひとだ。会ったことがあれば私は忘れないよ。
お互いに名前を知り、友人の第一歩を進んだ私達。
遊星さんはブルーノの腕を見込んで、別のページを開いて見せた。
画面に映る複雑な構造のなにか。
それについて遊星さんとブルーノが話していると、ジャックが怒った。
「それは新しいエンジンの極秘の設計図だろう!」
「口を挟まないでくれジャック。今は真面目な話をしているんだ」
「なっ……!?それじゃ俺と話すときは真面目じゃないと言うのか!」
バッサリと切り捨てられ、ちょっとショックだったらしい。
ジャックの声に勢いが無くなっていく。なんかちょっと可哀相だななんて考えたり。
クロウは「遊星に任せようぜ」とジャックを叩き、腕を頭の後ろで組んだ。
「二人は今真面目な話をしてるんだからよ」
「ぐっ……貴様まで!もういい、勝手にしろ!」
「拗ねましたね」
「拗ねたな」
「私、紅茶いれてきます。ジャック、今日は」
「コーヒーだ!!」
「あはは……了解です」
2017.01.02
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