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有栖川帝統
※すごい仲良し



「帝統!お昼は奢るから今日一日わたしに付き合って!」

「いいぜ!!」

帝統はかなりちょろい。年中金欠のギャンブル狂いである彼は、パチンコやスロットだけでは飽き足らず、街にある違法の賭場でも遊ぶような一見するとやばい奴である。わたしだって乱数に紹介された時は警戒した。けどまあ、こうして付き合いを続けていくことで中身を知っていく訳で。
彼がかなり単純でかなり素直な人間であることを理解するのに、そう時間はかからなかった。
住むところがないらしいので乱数の事務所に世話になっているとか、三食は乱数か夢野さんに食べさせてもらっているし、臨時収入があればすぐにパチンコ屋に飛び込んでいくし……まだ二十歳だから許されるというものばかり。
間違いなくお先真っ暗な人生だ。それなのに帝統なら大丈夫そうだなぁって根拠のないことを考えてしまうくらいには有栖川帝統という存在は明るくて運に恵まれている。

「超ラッキーだな、まじで」

「なにが?」

「だって名前がメシ奢ってくれるし、手伝いの礼で服とか買ってくれるし」

帝統は放っておくと同じ服を3日くらい洗濯せずに着続けるので服は多めに買っている。“夏はともかく冬は汗かかねーし臭くねえぞ”なんて言われたことがあるけどそういう問題じゃありません。

「あと、これって名前とデートじゃん」

帝統は単純で素直だ。だからこういう不意打ちをよくする。彼には不意打ちの自覚がないからタチが悪い。
不覚にもドキッとしてしまった己を悟られないように一度息を吐いて落ち着かせる。帝統はお昼ご飯のことを考えていてわたしの挙動には気がついていないようだった。ラッキー。

「あんた、ほんと将来は大物になるよ」

「ま、トーゼンだよな」

その自信はどこから来るのやら。