サイタマ
※ネクロマンサー夢主
▼やさい
「家庭菜園? なんですかそれは」
「さっきテレビで放送してたんだけどよ、家のベランダで小さい野菜とかを育てるんだよ。名前、ほぼ家にいるし暇だろうから、なんかこういうのやって時間潰せたらいいなと思って」
「わ、私へのお気遣いに泣きそうです」
「いや泣くなこんなことで」
「……お言葉ですが、べらんだで野菜を育てるのは難しいのでは? べらんだに土を敷き詰める訳にもいきませんし」
「現代にはプランターって便利なモンがあるんだよ。後で買いに行こうぜ」
「ぷらんたー……そ、それはどんな文明の利器なんですか!?」
「ただのプラスチックの鉢だよ」
「ほほう……!」
▼やさい2
「ぷらんたー!これですね!?」
「よく分かったな」
「長方形ではありますが、下に穴が開いている事や色合い、それからこのイメージ写真で、これがサイタマ先生の仰る“ぷらんたー”なのではという判断に至りました」
「変なところで頭切れるよな」
「えへへ」
「んじゃあとは野菜の種と……栄養剤も買っておくか。ジョウロはゾウのやつが家にあるし買わなくていいな」
「サイタマ先生!あれはなんですか!?木でできた蜂や蝶が細い棒の先についてるあれです!」
「あれはな、花壇に刺すやつ」
「花壇にさすやつ?」
「要は飾りだ。花とかの側に刺しておくんだ」
「へぇ〜!じゃあアレは!?」
「アレは金持ちのデケエ庭に置いてある鳥籠みてえなやつ」
「ではアレはなんですか!?」
「アレは人工芝」
「ほーむせんたーには面白いものがたくさん売ってるんですね!」
「現代知識ゼロのお前ならめちゃくちゃ楽しいだろうな。いや俺も楽しいけど」
▼やさい3
「ぷらんたーに土を詰めて、人差し指の第一関節までの深さがいいのか……それで、ええと……土に指を立てて、種は……」
「名前、楽しそうですね」
「だろ? めっちゃ可愛くね?」
「……」
「なんだよノれよ〜。名前が普通に現代を楽しんでんの嬉しくねーのか? 見たことないものに目を輝かせてるの可愛いいだろ」
「可愛いのは否定しませんが側にいるヤツで台無しです」
『おい、聞こえているぞ』
「ボロスさん、種はひとつずつ穴に入れるんですよ〜」
『わかった』
「煽るなよ今すっげえ楽しんでんだから」
「先生は名前と名前が出すものに甘すぎるんです」
「でもよぉ」
「名前の面倒を見るのは仕方ありません。何せ名前の封印を壊し、解放してしまったのはあなただ」
「おう……」
「名前が引き上げる者にも同じような態度で……」
「だってもうアイツら死んでるし」
「そういう問題ではないんですよッ!」
▼芽
「家庭菜園、楽しいですね!」
「まだ初日だけどな」
「名前、水は朝だけでいいからな。真夏は夕方にも水をやること。それから」
「ふむふむ、勉強になりますジェノスさん!」
「(この二人こうして見ると兄妹みたいだな……)」